親子で考える資産セミナー(静岡)

親子で考える資産セミナー~賢い貯“金”で資産を守る~

第2部 豊島逸夫さんに聞くわが家の資産と金

中国・インドが金を大量購入
豊島
金について一つ知っておきたいのは「誰が持っているのか」ということ。もちろん、民間も持っていますが、各国が外貨準備のために保有している量が多いのです。今、注目されているのは中国。この数年で金保有量は急増しています。中国が金を買い増しているということは、金価格が上がっている材料として重要なことです。2015年、中国の景気が減速しましたが、相変わらず約1000㌧も金を買っている。インドは約800㌧。中国とインドで年間世界生産量の6割を買っていることになります。2ヶ国のゴールドジュエリーショップのにぎわいは大変なものです。
佐久間
金の価格に関する質問もありました。
豊島
下値の目途としては生産コストです。金の特徴として、生産コストを大きく割り込んだ価格で取引されることはほとんどありません。もう一つの特徴は腐食しないということです。有史以来、採掘された物は残っていて、価格が上がるとリサイクル品として出てきます。金と原油はとかくコモディティー(商品先物市場で取引されるもの)という同じくくりの中でとらえられがちですが、原油は燃えたらなくなってしまうので金とは大きな違いがあります。だから金価格は、原油価格ほど乱高下しにくいのです。
また、みなさんからはプラチナに関する質問も目立ちました。
有事に備え 長く持つ
佐久間
今、プラチナは金に比べ価格が下回っているようです。
豊島
希少性から言うとプラチナの方が価値が高いはず。この逆転現象は、先物市場で現物を持っていない人が売っているのが要因です。プラチナの最大の需要は自動車の排ガスの浄化触媒。特にディーゼル車です。フォルクスワーゲン(VW)の偽装問題を受けて、投機筋は需要が減ると判断しましたが、欧州では温暖化防止と燃費効率の観点からやはりディーゼル車を選択する人が多いのです。VW株もまた上昇に転じています。中国での需要もあまり影響を受けていません。そう考えると、明らかに今の安値は行き過ぎで、1年くらいで金とプラチナの差はなくなるのでは、と思っています。
佐久間
いったん買い戻しが始まるとスルスルッと上がっていくものですよね。
豊島
私が勧めるのは、金もプラチナも少しずつ買っておくということ。金は生産コストで下落幅が抑えられ、逆にリサイクルで上昇にもブレーキがかかります。また、新しい鉱山を開発するという話が一向に出てきません。今、埋蔵量で注目されているのは海底ですが、海底から採掘して、それを陸に上げるだけでもとんでもないコストがかかるからです。金鉱石1㌧から金は3㌘ほどしか採れません。価格が今の3~4倍になっても、鉱山会社からしたら採算が取れない。金というのはそう簡単に生産量は伸びないということです。もう一つ、経済危機になれば原油の値は下がりますが金価格は上がる傾向にあります。なぜかと言うと、原油は産業用の用途が主だから経済危機の時には買い控えされるからです。でも金は先ほどお話ししたように外貨準備として現金の代わりとしても、産業用素材としても使われます。まさに「有事の金」なのです。
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プロフィール

講師
豊島逸夫さん としま・いつお

豊島逸夫事務所代表。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。独立後はチューリッヒ、NYでの豊富な相場体験をもとに、金市場に限らず世界経済、国際金融についても多くのメディアで情報を発信、活躍中。
MC
佐久間あすかさん さくま・あすか

フリーキャスター。千葉県出身。四国放送(徳島)のアナウンサーを3年間、テレビ大阪の経済・報道ニュースキャスターを3年間務める。2011年10月より日経CNBCキャスター。
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