マーケット市況情報

2012年02月07日 09時17分

2012年1月の貴金属市況2012年02月07日 09時17分

価格ベース
金 US$:London Fixing 円建:税抜参考小売価格
プラチナ US$:London Fixing  円建:   〃

金(Gold)
■海外金相場
1,590ドルでスタートした1月の金相場は、イラン情勢をめぐる地政学的リスクの高まりを背景に安全資産としての買いが見られ6日には1,621ドルに上昇しました。しかし発表された2011年12月の米雇用統計で、失業率が8.5%と予想を下回ったことや非農業部門雇用者数が市場予想以上に増加したことでドル高基調となるとドルの代替資産としての側面から一時1,610ドル近辺に下落しました。
その後スペイン・イタリアの堅調な国債入札結果を受けて欧州債務問題に対する警戒感がやや後退し米株式相場が上昇。投資家のリスク回避姿勢が弱まると原油相場など商品市場全般が上昇する中、この流れが金相場にも波及し上昇基調となると中国やインドなどアジア地域の堅調な現物需要にも支えられ12日には1,661ドルに上昇しました。
月半ばには米格付け会社スタンダード&プアーズが複数のユーロ圏諸国の国債の格付けを引き下げるとの報にリスク回避の動きが強まり株式相場や原油相場などが下落。金相場においても投機筋の手仕舞い売りの動きがみられ16日には1,640ドル近辺に下落しました。その後17日に発表された中国の2011年10~12月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比で市場予想以上に増加。またスペインやフランス国債入札が好調であったことや、ギリシャへの金融支援を巡る交渉が進むとの期待を背景に欧州債務問題への警戒感が後退。投資家心理の改善から金相場に投機資金の流入が見られ23日には1,675ドルに上昇しました。
月後半には米連邦準備制度理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で、超低金利政策の延長を表明。継続期間を「2014年後半まで」と明記し、従来の「13年半ばまで」から1年以上延ばしたことから米金融緩和の長期化観測が台頭するとドルの過剰流動性が意識される中、金相場も買いが旺盛となり26日には1,727ドルに上昇しました。
月末にはギリシャの債務削減をめぐるEU首脳会議で財政規律強化のための新条約に合意したことや、難航していたギリシャの債務削減交渉への進展期待感から欧州債務問題の先行き不透明感がやや後退。ユーロ高・ドル安を背景に金相場は堅調な推移を示し31日には月間最高値となる1,744ドルに上昇して越月しました。

 
■為替相場
76.66円でスタートした1月のドル円相場は、12月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が前月比20万人増と市場予想以上に増加したことに加え、失業率も低下したことで回復が遅れているとの見方が強かった米雇用情勢に対する不透明感がやや和らぎ、円売り・ドル買いが進行し6日には77.22円に下落しました。
しかし2011年12月の米小売売上高が前月比0.1%増と市場予想比で伸び悩んだことに加え、週間の米新規失業保険申請件数も39万9000件に増加し市場予想を大きく上回る水準まで悪化するなど低調な米経済指標を受けてドル売りが優勢となると、国際通貨基金(IMF)が欧州債務危機への対応強化に向けて資金基盤を増強しているとの報に欧州財政懸念の後退期待感からユーロが対ドルで上昇した流れも波及し18日には76.78円に上昇しました。しかしスペインやフランスの堅調な国債入札結果を受けて欧州債務問題に対する警戒感が後退すると、円が対ユーロで下落。円売りの動きは対ドルでも見られ20日には77.14円に下落しました。加えて2011年の日本の貿易収支が第2次石油危機後の1980年以来31年ぶりに赤字に転じたことで円売りが旺盛となると、今後経常収支の赤字転落も視野に入るなど日本の経済と財政に対する市場の警戒感が改めて強まったことで円売りドル買いが加速し25日には月間最安値となる77.80円に急落しました。
しかし25日に米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表した声明で超低金利政策を延長する方針を表明したことで米国債利回りが低下。これまで日本経済に対する警戒感を背景とした円売りの流れから一転して、日米の金利差縮小観測から円買い・ドル売りが優勢となり30日には76.79円に上昇。月末には米消費者信頼感指数が予想に反して低下するなど低調な米経済指標の発表を受けて、米景気の先行きに対する楽観が後退。ドル売り・円買いの流れが継続し31日には月間最高値となる76.38円に上昇して越月しました。


■国内金相場
3,933円でスタートした1月の国内円建て相場は、堅調なドル建て金価格に歩調を合わせる形で6日には4,051円に上昇しました。その後もドル建て金価格が堅調に推移する中、13日には4,110
円に上昇しましたが、月半ばにかけては円高基調となったことでやや上値の重い展開となりました。しかしドル建て金価格が上昇基調を維持したことに加え、月後半には米金融緩和の長期化観測から円安が進行したことで27日には月間最高値となる4,325円に上昇しました。月末にかけてはやや上値の重い展開となり31日には4,292円に下落して越月しました。


プラチナ(Platinum)
■海外プラチナ相場
1,408ドルでスタートした1月のプラチナ相場は、欧州債務問題への根強い警戒感などから米株式相場が軟調な推移を示す中、投機筋の売りが優勢となり9日には月間最安値となる1,403ドルに下落しました。1,400ドル近辺では値頃感から買いが散見され下値をサポートされたほか、イタリアやスペインの国債入札が順調な結果となったことで欧州債務問題への警戒感がひとまず和らぎ米株式相場が回復。また南ア電力会社Eskomによる電力供給不足に対応するための鉱山会社や自動車会社など大手需要家への供給カットの可能性が報じられたことで投機筋の買いが旺盛となり12日には1,500ドルに上昇しました。
月半ばにかけては中国の2011年10~12月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比で市場予想以上に増加したことやドイツの1月の景況感指数が前月比で大幅に改善したことなどを受けて景気減速懸念が後退。産業用材料としての側面が強いプラチナ相場もこれらの指標を好感した買いに堅調な推移を示し24日には1,550ドルに上昇しました。1,550ドル近辺ではこれまでの上昇に対する投機筋の利益確定の売りに一時上値を抑えられたものの、その後米連邦準備制度理事会(FRB)が超低金利政策を2014年後半まで延長することを表明したことから景気回復に対する期待感が高まり再び上昇基調に転換。また世界最大のプラチナ生産者である南アフリカのアングロプラチナム社が昨年第4四半期のプラチナ生産量が対前年比で19%減少したと発表したことから投機筋の買いが旺盛となり26日には1,613ドルに上昇しました。
1,615ドル近辺では利益確定の売りに一時1,600ドル近辺に下落する場面が見られたものの、月末にかけても投機筋の買い意欲は継続する中堅調地合いを維持し31日には月間最高値となる1,626ドルに上昇して越月しました。


■国内プラチナ相場
3,590円でスタートした1月の国内円建て相場は、月初にドル建てプラチナ価格が下落した局面では軟調な推移となり9日には月間最安値となる3,563円に下落しました。その後ドル建てプラチナ価格が上昇基調に転換したことで12日には3,816円に上昇しました。月半ばにかけて円高基調となったことで上昇ペースはやや緩やかなものになったものの、ドル建てプラチナ価格が堅調な推移を示したことで20日には3,871円に上昇しました。月後半には米金融緩和の長期化観測から円安が進行したことに加え、ドル建てプラチナ価格の上昇が継続したことで27日には月間最高値となる4,097円に上昇。月末にかけても堅調地合いを維持し31日には4,075円をつけて越月しました。

以上
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