マーケット市況情報

2011年12月12日 09時51分

2011年11月の貴金属市況2011年12月12日 09時51分

価格ベース
金 US$:London Fixing 円建:税抜参考小売価格
プラチナ US$:London Fixing  円建:   〃

金(Gold)
■海外金相場
1,702ドルでスタートした11月の金相場は、欧州中央銀行(ECB)が定例理事会で政策金利を0.25%引き下げたことを受けて3日には1,758ドルに上昇。その後のイタリアのベルルスコーニ首相に対する退陣要求が高まるなど同国の政局不透明感が拡大する中、ギリシャやポルトガルなどに続き欧州債務危機がイタリアにも波及するとの懸念から、金相場は安全資産の買いに8日には月間最高値となる1,795ドルまで上昇しましたが、週間の米新規失業保険申請件数が市場予想を下回ったことなどから米景気に対する先行き警戒感がやや後退し米株式相場が上昇。またイタリアではECB副総裁の新首相就任が決定したことで同国に対する先行き不透明感がやや和らぐと、これまで資産逃避的に買われていた金相場は売られる展開となり10日には1,756ドルに下落しました。
しかし市場ではイタリアの財政再建の先行きに対する警戒感は依然として強く、同国債の金利が上昇。またスペインの国債利回りも上昇するなど欧州財政問題に対する懸念が高まる中、金相場は再び買われ14日には1,780.50ドルに回復しました。
しかしその後は10月の米消費者物価指数(CPI)が低下したことでインフレに対する過度な警戒が緩和され上値の重い展開となる中、ギリシャやイタリアに続いてスペインやフランスの国債利回りが上昇したことを受けて欧州の財政問題が深刻化すると世界的な景気減速懸念の台頭からリスク回避の動きが強まり原油や株式相場が下落し、これまで安全資産として買われていた金においても他金融商品の損失を穴埋めするための換金売りが加速し、21日には一時、スポットベースで1,675ドルを割り込む水準まで下落しました。
1,675ドル近辺はおおよそ1ヶ月ぶりの安値水準であったことに加え、大幅な下落を受けた投機筋の安値拾いの買いも見られ下値をサポートされると、24日には1,699ドルに反発しました。
月末にかけてはユーロ圏財務相会合で欧州金融安定基金(EFSF)の拡充策などの協議が進むとの期待が浮上し、欧州債務問題への懸念がやや和らぐとの見方からユーロがドルに対して上昇したことと30日には日米欧の主要中央銀行が市場へのドル資金供給強化策が発表されたことでドルの過剰流動性が意識されると、30日には1,746ドルに上昇して越月しました。

 
■為替相場
78.34円でスタートした11月のドル円相場は、イタリアの国債利回りが7%を突破したことを受けて同国の財政不安が市場に与える悪影響に対する懸念が広がるとユーロ売り円買いが進行しました。また欧米株式相場や原油といった比較的運用リスクが高いとされる資産も売られる中、対ドルでも円が買われる展開となり9日には77.71円に上昇しました。さらにその後は、イタリア国債の利回りが低下し、財政運営上の「危険水域」とみなされる7%を下回ったことや、ギリシャの新首相が決まったことなどから欧州債務問題に対する懸念がやや和らいだことでユーロは対ドルで上昇。日本の政府・日銀による円売り介入に対する警戒感も後退する中、円が買われる展開となり14日には77.25円に上昇しました。
月半ばにかけては、欧州連合(EU)内での欧州金融安定基金(EFSF)の強化策検討の報に欧州財政問題の改善に対する期待感が高まる中、ユーロ買い・ドル売りが優勢となると、この流れがドル円相場にも波及、また米財政赤字削減に関する米議会の協議が、期限中に合意できない可能性が高まったことなどから主要通貨に対するドル売りが加速し、21日には月間最高値となる76.92円まで上昇しました。
月後半にかけては、ドイツ国債の入札で応札額が募集上限を下回ったことを受けて、欧州債務問題への懸念が改めて強まると対ユーロでドルが上昇。対ユーロでのドルの値動きが対円に波及する傾向が見られる中、円売り・ドル買いが旺盛となると77円の大台を突破し29日には78.21円に下落しました。日米欧主要6カ国中央銀行がドル資金供給の拡充策で協調すると発表したことを受けて、ユーロ圏の金融機関の資金調達環境が改善するとの期待からユーロが対ドルで上昇。円に対してもドル売りが優勢となり一時77.70円近辺まで上昇。月末30日は78.13円にて越月しました。


■国内金相場
4,367円でスタートした国内円建て相場は、堅調な推移を示すドル建て金価格に歩調を合わせるかたちで8日には月間最高値となる4,537円に上昇しました。その後はドル建て金価格が下落したことを受けて11日には4,415円に下落しました。その後再びドル建て金価格が上昇に転じたことで国内円建て価格も14日には4,482円に値を戻しましたが、円高の進行に上値はやや限定的となりました。月半ばにかけては投機筋の手仕舞い売りにドル建て金価格が下落。円高の進行も重なり国内円建て価格は軟調な推移を示し、22日には月間最安値となる4,192円に下落しました。月末にかけてはドル建て金価格が下値をサポートされたことで値を戻し、また円高にやや歯止めが掛かったことも重なり30日には4,361円に値を戻して越月しました。


プラチナ(Platinum)
■海外プラチナ相場
1,581ドルでスタートした11月のプラチナ相場は、ギリシャの財政赤字削減策を問う国民投票実施表明などに伴う欧州債務問題の不透明感から株式相場や原油価格が軟調な展開となる中、プラチナ相場においても投機筋の手仕舞い売りが加速し一時1560ドル近辺まで下落しました。
その後ギリシャが国民投票を見送る可能性が報じられると欧州債務問題に対する不透明感がやや後退し、それに加えて欧州中央銀行の利下げ決定が欧州景気を下支えするとの期待感から株式相場が上昇し、株式相場の上昇を好感した買いに8日には月間最高値となる1,661ドルに上昇しました。
その後は財政問題や政局の混迷への懸念からイタリア国債の利回りが上昇したことを受けてリスク回避の動きから株式や原油相場同様に軟調に推移し一時1610ドル近辺まで下落しましたが、
市場予想を上回る米経済指標や米企業の好決算を受けて米景気先行き不透明感が和らいだことで株式相場が堅調な推移を示すと14日には1,650ドルに上昇しました。
しかしイタリア国債の利回りが7%台で高止まりしていたことや、スペインの国債利回りも上昇するなど欧州債務問題の深刻化が意識されると、欧州財政問題が世界的な景気減速に発展するとの懸念から株式相場が下落する中、産業用材料としての側面の強いプラチナ相場も軟調な展開となり25日には1,529ドルに下落しました。
月後半にかけましては、1,530ドル近辺では安値拾いの買いが見られたほか、欧州債務問題の解決に向けた対策案への期待感を背景とした株式相場の反発を好感し28日には1,558ドルに上昇。月末には金相場の下落に追随するかたちで30日には月間最安値となる1,515ドル近辺に下落しましたが、日米欧中央銀行によるドル資金供給拡充を受けて株式相場や原油価格が上昇したことを好感し、1,558ドルに上昇して越月しました。
 

■国内プラチナ相場
4,147円でスタートした11月の国内円建て相場は、月前半にかけてはドル建てプラチナ価格が上昇基調となったことから堅調な推移を示し9日には月間最高値となる4,268円に上昇しました。月半ばにかけてはドル建てプラチナ価格が軟調な推移を示したことに加え、円高が進行したことから下落基調となり4,000円を割り込むと、月後半には下落幅を拡大し24日には月間最安値となる3,925円に下落しました。月末にかけては円高にやや歯止めが掛かったことで国内円建て価格はやや値を戻したものの、ドル建てプラチナ価格が引き続き上値の重い展開となる中3,962円にて越月しました。


以上
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