マーケット市況情報

2011年10月06日 10時41分

2011年9月の貴金属市況2011年10月06日 10時41分

価格ベース
金 US$:London Fixing 円建:税抜参考小売価格
プラチナ US$:London Fixing  円建:   〃

金(Gold)
■海外金相場
9月の金相場は、米国の週間新規失業保険申請数が市場予想を下回ったことや発表された米景況感に関する経済指標が比較的堅調な内容であったことなどから、1,815.50ドルとやや上値を抑えられてのスタートとなりました。しかし2日に発表された8月の米雇用統計で非農業部門就業者数が市場予想を下回り前月比横ばいとなったことや失業率が前月と同じ9.1%と高止まりしたことから景気鈍化の懸念が拡大。金相場は安全資産としての買いが旺盛となると1,875.25ドルに上昇しました。その後も欧州のギリシャ支援を巡る不透明感などから5日にはロンドン・フィキシングベースで月間最高値となる1,896.50ドルに上昇すると、米国市場が休場となる中、投機筋の買いが加速し6日にはスポットベースで一時1,915ドル近辺まで値を伸ばしました。
1,900ドルを突破した水準では投機筋の利食い売りも見られ上値を抑えられる展開となる中、スイス国立銀行(中央銀行)が無制限の為替介入の実施を発表。これまで金同様に安全資産として買われていたスイスフランがドルやユーロに対して下落したことを材料に、金相場でも投機筋の売りが優勢となり軟調な展開となると、7日にはドイツ連邦憲法裁判所が同国が過去に決めたギリシャ支援に対する違憲申し立てを棄却。これを受けて目先の不安材料がやや後退したとの見方から欧米の株式相場が上昇すると、これまで安全資産として買われていた金相場は投機筋の利食い売りが旺盛となり1,800ドル割れの水準に急落しました。しかし8日に欧州中央銀行トリシェ総裁が定例理事会後の記者会見で「ユーロ圏経済の不安定性は高い」と発言したことをきっかけに欧州経済の先行き不安が意識され、リスク回避の動きから金相場への逃避資金の流入が再び強まると9日には1,879.50ドルに値を戻しました。その後は財政難に陥ったギリシャの国債を多く所有するフランスの銀行に格下げの観測が強まるなど欧州の債務問題を背景に再び欧米の株式相場が下落。株式相場の下落による損失を穴埋めするため投機筋の換金売りが旺盛となり、13日には1,806ドルに下落しました。その後欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)、日銀など日米欧の主要中央銀行が協調して金融市場にドル資金を供給すると発表したことで欧州の金融不安がひとまず和らいだことで欧州を中心に株式相場が上昇しました。株価の上昇を受けて金相場は16日に1,778ドルに下落しました。
1,800ドル割れの水準ではこれまで高値圏で推移していたことに対する値頃感から、月中盤にかけては1,800ドル近辺で下値をサポートされる展開となりました。その後21日には米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で金融緩和の強化策を発表しました。しかし市場では織り込み済みの内容であったことや景気を浮揚させるにはやや力不足との見方が台頭。また同声明において経済見通しの下振れリスクにも言及されたことで、リスク回避の動きが強まり株式や原油などが大幅に下落しました。これまで安全資産として買われる傾向が強かった金相場においても株価や他商品市場の下落に伴う損失補填を目的とした現金化の動きが見られるようになり下落基調に転換すると22日には1,722ドルへ下落しました。さらに23日に米先物市場での証拠金引き上げが発表されると、投機筋の手仕舞い売りが加速し26日にはおおよそ2ヶ月ぶりに1,600ドルの大台を割り込み月間最安値となる1,598ドルに急落しました。
月後半にかけては1,600ドル割れの水準では値頃感も台頭しアジア圏を中心とした実需の買いも見られ1,600近辺で下値をサポートされました。また欧州債務問題を巡る当局間の議論が進むとの期待から株式相場が上昇。これまでは欧州財政不安を材料に資金の逃避先として買われる傾向が強かった金相場においても株式相場や他貴金属同様に投資資金の戻りが見られ27日には1,671ドルに値を戻しました。月末にかけては引き続き不安定な欧州情勢を背景にやや投機筋の売りが優勢となり30日には1,620ドルに下落して越月しました。

 
■為替相場
77.01円でスタートした8月のドル円相場は、月初に発表された8月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数が前月比横ばいと市場予想を下回ったことや、失業率も前月と同じ9.1%と低調な結果であったことから円買い・ドル売りが優勢となり5日には76.82円に上昇しました。しかしその後ギリシャなど欧州圏の債務不安に対する警戒感が高まったことで、対ユーロでドルが上昇するとその流れはドル円相場にも波及し、ドル買い・円売りが優勢となり7日には77.48円に下落しました。また欧州中央銀行は8日の理事会で政策金利の据え置きを決定。その後の記者会見でトリシェECB総裁がユーロ圏景気について下振れリスクについて言及。加えて2011年、12年の域内の成長率見通しも引き下げたことで欧州の追加利上げが遠のいたとの見方からユーロが対ドルで大幅に下落すると、円の対ドルでの下落につながり12日には月間最安値となる77.58円に下落しました。
 月半ばには8月の米小売売上高が発表されましたが、増加を見込んでいた市場予想に対し、前月比で横ばいと低調な結果であったことを受けて、米景気の減速が一段と意識されドル売り・円買いが優勢となりました。またドイツとフランスがギリシャの財政健全化とユーロ圏の安定へ協調姿勢を示したことでユーロ買い・ドル売りが進んだことも対円でのドル売りも誘い15日には76.70円に上昇しました。16日には欧州諸国がギリシャの債務不履行の回避に向けて全力を挙げる方針を示したものの、一方で新たな具体策に乏しいとの見方や日米欧の中央銀行が発表したドル資金供給も欧州債務問題の根本的な解決には至らないとの見方が台頭すると、欧州の債務不安が改めて意識されドルがユーロに対して上昇。対円でもドル買いが優勢となり16日には77円近辺まで下落しました。しかし20日に国際通貨基金(IMF)が米国やユーロ圏の経済見通しを下方修正し、2011年、2012年の実質成長率がともに1%台にとどまるとの予測を公表。米欧の景気先行きの不透明感から円は買われる展開となり、21日には月間最高値となる76.26円に上昇しました。
また21日には米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で長期金利の押し下げを目的に長期国債の保有比率を高める「ツイスト・オペ」の導入を発表。同政策は市場予想通りの内容であったことから相場への影響は限定的であったものの、声明発表前に進んだドル下落の反動から円売り・ドル買いが進行し26日には76.64円に下落しました。月末にかけてはギリシャなどを巡る欧州債務問題や米景気先行き見通しを眺めながら76.50円近辺での動きに終始し30日は76.63円にて越月しました。


■国内金相場
4,539円でスタートした国内円建て相場は、ドル建て金価格が上昇基調となる中、月前半にかけては堅調な推移を示し6日には月間最高値となる4,721円に上昇しました。その後はドル建て金価格がやや上値の重い展開となったものの、円安の進行に底堅く推移し4,500円近辺での推移となりました。しかし月半ば以降、ドル建て金価格が軟調な推移に転換すると、国内円建て価格も徐々に下値を切り下げる展開となり、16日には4,425円に下落しました。月後半にかけてドル建て金価格が急落し、その流れに歩調を合わせるかたちで国内円建て価格も軟調な展開となり29日には4,000円を割り込み月間最安値となる3,964円に急落しました。4,000円割れの水準では値頃感も台頭し、30日には4,048円に値を戻して越月しました。


プラチナ(Platinum)
■海外プラチナ相場
1,850ドルでスタートした9月のプラチナ相場は、プラチナと金の価格差が意識される中、堅調な金相場に追随するかたちで5日には月間最高値となる1,881ドルに上昇しました。しかし1,900ドルを前に高値警戒感も台頭し上値の重い展開となると、スイス中央銀行が無制限の為替介入の実施を発表したことに加え、ドイツ連邦憲法裁判所がギリシャ支援に対する違憲申し立てを棄却したことで欧州財政懸念がひとまず和らぎ、これまで安全資産として買われていた金相場が下落。金相場の下落に追随するかたちで投機筋の売りが優勢となると7日には1,822ドルに下落しました。その後は欧州中央銀行トリシェ総裁が「ユーロ圏経済の不安定性は高い」と発言したことをきっかけに欧州経済の先行き不安が意識され、リスク回避の動きから金相場への逃避資金の流入が再び強まるとプラチナ相場にも資金流入が見られ9日には1,879.50ドル回復しました。しかし工業用需要に目立った動きが見られないプラチナ相場は投機筋の売りが優勢となる中、徐々に下値を切り下げる展開となり、15日には1,800ドルを割り込み1,782ドルに下落しました。
21日に米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で金融緩和の強化策が発表されましたが、市場ではすでに織り込み済みの内容であったことで景気を浮揚させるにはやや力不足との見方が台頭。また同声明において経済見通しの下振れリスクにも言及されたことで、リスク回避の動きが強まり株式や原油などが大幅に下落する中、プラチナ相場も軟調な展開となると、景気減速懸念を背景に産業用材料としての側面も意識され投機筋の換金売りが加速。下げ幅を拡大し26日には一時1,500ドルの大台を割り込みスポット・ベースで1,475ドル近辺まで急落しました。
1,500ドル割れの水準は2010年8月以来の安値圏であったことから値頃感も台頭し、工業用実需の買いも散見され下値をサポートされると、急落に対する反動からも買いが優勢となり1,500ドルを回復し、28日には1,582ドルに値を戻しました。月末にかけては引き続き不安定な欧州情勢を背景に金相場がやや軟調に推移する中、投機筋の売りに押され30日にはロンドン・フィキシングベースで月間最安値となる1,511ドルに下落して越月しました。
 

■国内プラチナ相場
4,654円でスタートした9月の国内円建て相場は、月前半にかけてドル建てプラチナ価格が堅調な相場推移を示したことから徐々に下値を切り上げ、6日には月間最高値となる4,754円に上昇しました。その後はドル建てプラチナ価格が上値の重い展開となると、ドル建て価格に歩調を合わせるかたちで軟調な展開となり13日には4,600円に下落。ドル建て価格の下落に加え、月中盤にかけては円高傾向となったことから国内円建て価格は下値を切り下げる展開となり22日には4,437円に下落しました。月後半にかけてはドル建てプラチナ価格が急落したことを受けて、国内円建て価格は4,000円の大台を割り込み29日には月間最安値となる3,826円に急落。ドル建てプラチナ価格が軟調な展開となる中30日は3,881円にて越月しました。


以上
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