マーケット市況情報

2011年07月12日 15時16分

2011年6月の貴金属市況2011年07月12日 15時16分

価格ベース
金 US$:London Fixing 円建:税抜参考小売価格
プラチナ US$:London Fixing  円建:   〃

金(Gold)
■海外金相場
6月の金相場は1,532.25ドルでスタートしたのち、月初に発表された米民間雇用統計や米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が悪化したことをきっかけに1,550ドル近辺に上昇しました。1,550ドル近辺では投機筋の利益確定の売りに上値を抑えられると、原油相場が軟調な展開となったことも投機筋の売りを誘い3日には1,531.00ドルに下落しました。その後発表された5月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数は前月比54,000人増と増加幅は前月(232,000人増)から大幅に縮小。また失業率も9.1%と前月よりも悪化したことで米雇用環境の回復の遅れが意識されると、米景気先行き不安から米株式相場が軟調な推移を示す中、金相場は安全資産としての買いが旺盛となり6日には1,549.00ドルに上昇しました。
 1,550ドル近辺では投機筋の利益確定売り上値の重い展開となると、その後米連邦準備理事会(FRB)バーナンキ議長が講演で追加量的緩和策について示唆しなかったことを受けて、金相場への資金流入が後退するとの連想が台頭。一時、投機筋の手仕舞い売りが優勢となり9日には1,534ドルに下落しました。しかし金融緩和政策は当面継続されるとの見方は根強く、下値を支えられると、その後欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁がユーロ圏の物価上昇に強い警戒を示したことや原油価格の上昇にインフレ懸念が台頭。再び金相場への資金流入が旺盛となり10日には1,541ドルに値を戻しました。その後は欧州中央銀行(ECB)により慎重な経済見通しが示されたことやギリシャ債務問題からユーロに対するドル高が進行すると、ドルの代替資産としての側面から金は売られる展開となると、原油価格の下落を材料の投機筋の手仕舞い売りも誘われ14日には1,516ドルに下落しました。
 月半ばに発表された中国の5月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で5.5%上昇したことを受けて中国のインフレに対する懸念が台頭。金相場は1,515ドル近辺で下値をサポートされるとその後発表された5月の米消費者物価指数も予想以上に上昇したことなどから買われる展開となり17日には1,537.50ドルに上昇しました。これらインフレ懸念のほか、ギリシャの債務問題を背景とした先行き不透明感から堅調な推移を示し22日には1,552.50ドルに上昇しました。その後22日には米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が量的金融緩和第3弾の必要性に言及しなかったことからドル買いが優勢となる中、国際エネルギー機関(IEA)が石油備蓄の放出を発表すると原油価格が下落。投資家の手仕舞い売りの動きは金相場にも波及し、24日には1,514.75ドルに急落しました。
 月末にかけてはギリシャの財政問題を巡る市場の過度の懸念が後退したことで、安全資産としての買いが薄れたことや原油価格の下落に軟調な展開となり1,500ドルの大台を割り込むと、27日には月間最安値となる1,498ドルに下落しました。1,500ドル割れの水準ではアジア圏を中心とした現物需要が旺盛となり下値をサポートされると、月末30日には1,505.50ドルに値を戻して越月しました。

 
■為替相場
81.45円でスタートした6月のドル円相場は、月初に発表された米民間雇用統計が市場予想を大幅に下回る内容となったことや5月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数も市場予想に届かなかったことから米景気減速が意識されドル売り円買いが優勢となると、3日には80.85円に上昇しました。またその後発表された5月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比54,000人増と増加幅は前月(232,000人)から大幅に縮小したことを受けて、米雇用の回復が鈍化しているとの見方が台頭するとドル売り円買いの動きが継続。またその後の米連邦準備理事会(FRB)バーナンキ議長が講演で現時点では追加の金融緩和は必要ないとの認識を示すと、米景気の先行き不透明感が強まりドル売り円買いが加速し、9日には月間最高値となる80.06円に上昇しました。その後4月の米貿易収支で赤字幅が市場予想に反して縮小し、米株式相場が上昇したことや米長期金利の上昇などを材料にドルが買い戻される展開となり13日には80.46円に下落しました。
月中盤にかけてはやや動意に欠ける展開となったものの、ギリシャ債務問題への警戒感を背景にドルが対ユーロで大幅に上昇した流れが対円にも波及する中、円は徐々に下値を切り下げ16日には80.91円に下落しました。しかしその後欧州でギリシャの追加支援策を極力早く決めるとの見解が示されたことでギリシャ問題の解決が早まるとの期待が意識されると、対ユーロでドル安が進行。この流れを受けてドル売り円買いの動きが見られ20日には80.22円に値を戻しました。しかしその後22日には米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が一段の量的緩和の必要性を示唆しなかったことを背景に米債権市場で長期国債利回りが上昇。日米金利差が拡大するとの観測が台頭する中、対ドルで円が売られる展開となると円は徐々に下値を切り下げ29日には81.03円に下落しました。その後はギリシャ議会が欧州連合(EU)などからの中期財政計画を承認したことからギリシャ債務問題に対する懸念がひとまず後退。ドルに対するユーロの上昇になびくかたちで値を戻し30日には80.73円に上昇して越月しました。

 
■国内金相場
4,040円でスタートした国内円建て相場は、月初ドル建て金価格が底堅い推移を示した一方で、円高の進行に徐々に下値を切り下げる展開となり、9日には3,986に下落しました。月中盤にかけては円高にやや一服感が出たもののドル建て金価格が軟調な相場推移を形成したことから、国内円建て相場は上値の重い展開となり15日には3,980円に下落しました。その後はドル建て金価格の反転に歩調を合わせるかたちで徐々に下値を切り上げ23日には4,038円に上昇しましたが、月末にかけてドル建て金価格が急落したことを受けて国内円建て相場も再び軟調な展開となり27日には月間最安値となる3,930円に下落しました。その後はドル建て金価格の戻りに歩調を合わせる形で下値をサポートされ30日には3,949円に値を戻して越月しました。

プラチナ(Platinum)
■海外プラチナ相場
6月のプラチナ相場は1,819ドルでスタートした後、南ア国営電力会社による電力供給不安が台頭したことなどから月初に一時1,840ドル近辺に上昇しました。しかしその後発表された5月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比54,000人増と増加幅は前月から大幅に縮小したことを受けて米景気の先行き不透明感が台頭すると、月初の急上昇に対する反動もあり投機筋の利益確定の売りが優勢となり3日には1,807ドルに下落しました。1,800ドル台前半では下値をサポートされたものの、米株式相場が軟調な展開となったこともあり上値も限定的となる中、おおむね1,820ドルを挟んでの小動きが続きました。その後は4月の米貿易収支で赤字幅が縮小したことなどから米株式相場が上昇すると、米株式相場の上昇を好感した買いに10日には月間最高値となる1,842ドルに上昇しました。1,850ドル近辺では投機筋の利益確定の売りに上値の重い展開となると、その後ギリシャへの追加金融支援を巡り、ユーロ圏の財務相緊急会合の議論が難航したことをきっかけにギリシャ債務問題への警戒感が台頭し米株式相場が大幅に下落。またニューヨーク連銀が発表した6月の製造業景況感指数は市場予想に反して大幅に悪化したことで米景気の先行き不透明感も台頭すると、産業用メタルとしての側面が強いプラチナ相場は需要減退が意識され下落基調に転換し1,800ドルを割り込むと、投機筋の手仕舞い売りに軟調な相場展開が継続し20日には1,727ドルに下落しました。1,730ドル近辺では実需筋の買いが散見されたことや、米株式相場の反発を好感した買いに値を戻し22日には1,749ドルに上昇しました。
その後22日には米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見でバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が量的金融緩和第3弾の必要性に言及しなかったことからドル買いが優勢となる中、国際エネルギー機関(IEA)が石油備蓄の放出を発表すると原油価格が下落。投資家の手仕舞い売りの動きはプラチナ相場にも波及し再び下落基調に転換すると24日には1,700ドルを割り込み、投機筋の売りは加速し27日には月間最安値となる1,674ドルに下落しました。1,700ドル割れの水準では値頃感も台頭し投機筋の買いに下値をサポートされると工業用実需の買いにも動きが見られ値を戻すと、月末には1,700ドル台に回復し31日には1,722ドルに上昇して越月しました。
 

■国内プラチナ相場
4,853円でスタートした国内円建て相場は、月前半にかけてはドル建てプラチナ価格がやや動意に欠ける展開となる中、円高の進行に上値の重い相場を形成し7日には4,734円に下落しました。月半ばにかけてはドル建てプラチナ価格が軟調な展開となったことから、国内円建て相場も徐々に下値を切り下げる展開となり17日には4,656円に下落しました。その後も軟調なドル建てプラチナ価格に連動するかたちで軟調な展開が継続すると、円高の進行に下げ幅を拡大し27日には月間最安値となる4,456円に下落しました。月末にかけてはドル建てプラチナ価格が反転したことを受けて国内円建て相場も値を戻し30日には4,555円に上昇して越月しました。

以上
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