マーケット市況情報

2010年08月09日 11時21分

2010年7月の貴金属市況2010年08月09日 11時21分

価格ベース
金 US$:London Fixing  円建:税抜参考小売価格
プラチナ US$:London Fixing  円建:   〃

金(Gold)
■海外金相場
  1,240ドルでスタートした金相場は、米景気の回復鈍化への懸念を示唆する経済指標の発表が相次ぎ、米株式相場が2009年10月以来の水準まで下落したことから金融・商品市場を通じてリスク回避の姿勢が強まると、資金の逃避先として選好されやすい金にもその流れが波及し、投機筋の利益確定売りが出て2日には1,201ドルに下落しました。1,200ドル近辺まで下落した局面では、値頃感からアジア圏の需要が旺盛となり1,210ドルに回復しましたが、その後米株式相場が反発したことや世界的に株式相場が底堅く推移したことから、金は売られる展開となり7日には1,186ドルに下落しました。しかし1,200ドルを下回る水準では割安との見方から実需の買いが活発となり再び1,200ドル台を回復すると、13日には格付け大手ムーディーズがポルトガルの債務格付けを引き下げたことなどから欧州の財政問題が再び注目を集め、安全資産の買いが高まり1,216ドルまで上昇しました。
  16日には米消費者物価指数が前月比で3ヶ月連続のマイナスになったことで米景気の回復鈍化が示唆されたことや、米銀大手2社の決算発表を受け金融株主導で米株式が下落したことから、商品市場全般において換金目的の売りがでて1,190ドルを割り込むと、約2ヶ月振りの安値となる1,181ドルまで下落しました。1,180ドル近辺では値頃感から再び実需の買いが旺盛となり、一旦は下値を支えられ23日には1,198.75ドルに値を戻しましたが、同日に発表された欧州金融機関の健全性を審査する資産査定(ストレステスト)で、資本不足は域内20カ国の銀行91行中7行と想定範囲内の結果であったことから、金融市場全般で過度の警戒感が後退。また26日に発表された6月の米新築住宅販売件数が前月比で市場予想以上に増加したことで米住宅市場の不透明感も後退したことなどからドルや欧米の株式相場が上昇に転じると、ファンド筋の売りが加速し約3ヶ月振りに1,160ドルを割り込み、28日には月間最安値となる1,157ドルに下落しました。月末にかけては値頃感から実需の買いが入り徐々に下値を切り上げ1,170ドル近辺に回復して越月しました。
 尚、7月2日にETF4銘柄(金、プラチナ、銀、パラジウム)が東京証券取引所に上場されました。同ETFは三菱UFJ信託銀行株式会社が信託受託者となり、初めて貴金属現物が国内で保管されるETFということから注目を集めましたが、上場一ヶ月での出来高は金で約550Kgとなりました。

■為替相場
  7月のドル円相場は、6月の米ISM製造業景況感指数が予想以上に低下したことなどから米景気の先行き不透明感が台頭し、87.60円近辺に上昇してスタートしました。2日に発表された6月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が市場予想以上に減少し、米労働市場の回復がかなり緩やかになるとの見方から円買いドル売りが優勢となり、月初にかけては87.50ドル近辺での推移が継続しました。8日には発表された米新規失業保険申請件数が市場予想以上に減少したことで米雇用情勢への懸念がやや和らぎ、米株式市場が上昇。また国際通貨基金(IMF)が今年の世界経済の実質成長率見通しを上方修正したことなどから世界景気減速への過度の警戒感が後退すると、円は88円台へ下落しました。さらに11日に行われた参議院選挙で民主党が敗北したことを受け、12日には日本の政局不安の懸念を背景とした円売りの動きが見られ一時89円台に下落しました。
  13日には米格付け会社によるポルトガルの格下げを受けて円が買われ、一時88円台前半まで値を戻す場面もありましたが、ギリシャが実施した短期国債の入札が好調と受け止められると、欧州諸国の財政問題に関する不安が後退。投資家が運用リスクを取りやすくなるとの見方が強まり円は売られ89円台に下落しました。しかし米連邦準備理事会(FRB)が公表した経済見通しで米成長率見通しを下方修正したことや、米製造業関連の指標が低調であったことから、米景気の回復ペースが鈍化しているとの見方が強まり、円買いが加速すると16日には一時2009年12月以来約7ヵ月振りの高値となる86.30円近辺まで上昇しました。円高が進行する中、日銀による追加金融緩和に関する一部報道などが材料視され一時87.60円近辺まで下落する場面もありましたが、バーナンキFRB議長により議会証言で米景気に慎重な見通しが示されたことなどから22日には再び86.50円近辺まで値を戻しました。23日には欧州金融機関のストレステストの結果が発表されました。結果が想定の範囲内であったことが好感され欧米の株式相場が上昇すると、円は売られる展開となり28日には88円台に下落しました。月末に発表された米GDPの結果が市場予測を届かなかったことなどから円買いドル売りが優勢となると30日には86.69円に上昇して越月しました。

■国内金相場
  3,560円でスタートした国内円建て相場は、ドル建て金相場の下落に歩調を合わせるかたちで2日には3,430円まで下落しました。その後ドル建て金相場が1,200ドルを割り込む展開となったものの、円安の進行に円建て金相場の下落幅は限定的となり、月中盤にかけては3,400円台を維持しました。月後半にかけてはドル建て金相場が上値の重い展開となったことに加え、米景気先行き懸念を示唆する経済指標の発表や米株式相場の下落に円高が進行し、円建て相場は軟調な推移となると20日には3,345円に下落しました。月末にかけてはドル建て金相場の軟調な推移に合わせて下落基調となり、30日に月間最安値となる3,288円に下落して越月しました。


プラチナ(Platinum)
■海外プラチナ相場
  7月のプラチナ相場は、米景気の回復鈍化への懸念を示唆する経済指標の発表をきっかけとした米株式市場の下落に1,514ドルに下落してスタートすると、ファンド筋の売りが強まり6日には一時1,500ドル近辺まで下落しました。しかしこの水準では値頃感からアジア圏を中心に実需の買いが旺盛となったことに加え、米株式市場の反発をきっかけに需要回復に対する期待感から値を戻すと、8日には1,528ドルに上昇しました。その後は米株式市場の動向を睨みながら1,520ドルを挟んで概ね上下10ドルのレンジでの相場推移を形成しましたが1,530ドル近辺で上値の重い展開となると、16日に米景気の回復鈍化が示唆される経済指標が発表されたことや、米銀大手2社の決算発表を受け金融株主導で米株式相場が下落したことをきっかけにファンド筋の売りが活発化し、プラチナ相場は軟調な展開となると19日には1,500ドルを割り込み月間最安値となる1,499ドルに下落しました。その後は実需の買いにサポートされ1,500ドルを回復したものの、23日に欧州金融機関の資産査定(ストレステスト)の結果発表を控えて米株式市場が様子見ムードとなる中1,510ドル近辺での小動きに終始しました。23日に発表された欧州金融機関の資産査定(ストレステスト)の結果が資本不足は域内20カ国の銀行91行中7行と想定範囲内であったことで、市場に過度の警戒感が後退したことから米株式相場が堅調となると、この動きを好感してプラチナ相場にも投機筋の買いが入り27日には月間最高値となる1,560ドルまで上昇しました。その後米株式相場が上値の重い展開となったことから一時1,530ドル台に下落する場面もありましたが、月末にかけては投機筋の買いに値を戻し1,560ドル近辺に上昇して越月しました。

■国内プラチナ相場
  4,415円でスタートした国内円建て相場は、米株式相場の軟調を嫌気したドル建て価格の下落に伴い6日には4,326円に下落しました。その後もドル建て価格は軟調に推移が続きましたが、円安が進んだことから国内円建て価格の下落は限定的となり4,300円台を回復。14日にはドル建て価格の上昇に加え88円台まで円安が進行したことから月間最高値となる4,491円に上昇しました。その後はドル建て価格が上値の重い展開となったことや円高から軟調な展開となると、20日には月間最安値となる4,297円まで下落しました。しかし23日に発表された欧州金融機関のストレステストの結果を好感した米株式相場の上昇にドル建て価格が上昇基調に転換すると、国内円建て価格も堅調に推移し26日には4,400円台を回復しました。その後月末にかけてはドル建て価格が堅調に推移する中、国内円建て価格は円高の進行に上値を抑えられる展開となり4,421円にて越月しました。


以上
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