マーケット市況情報

2009年12月08日 15時54分

2009年11月の貴金属市況2009年12月08日 15時54分

価格ベース
金 US$:London Fixing  円建:税抜参考小売価格
プラチナ US$:London Fixing  円建:   〃

金(Gold)
■海外金相場
  月間最安値となる1,052ドル近辺でスタートした11月の金相場は、ドル安を背景として月を通して堅調に推移し、月間で130ドルを超える上げ一方の相場となりました。
  月初、インド中央銀行が国際通貨基金(IMF)の保有する金200トンを購入したとの報道をきっかけに急騰しました。IMFは400トンあまりの金を売却する方針を発表していましたが、これが一部実現したことにより、市中への流出が防がれたことと、中央銀行による準備金保有の増加によるドル資産離れ好感され、4日には1,090ドル台をつけました。その後もドル安や原油高などの良好な要因を背景に続伸。9日に発表された米国雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比19万人減少と予想以上の悪化となり、失業率も10.2%と26年ぶりの高水準となったことを受けたドルの急落から、金は直近の節目とされた1,100ドルを突破しました。
  その後、1,100ドルの大台達成感から利食い売りに押される場面もありましたが、株式や商品相場、高金利通貨への資金流入拡大の動きの中でドル安が進行し、実需筋の当用買いや投機筋の押し目買いが活発に入ったことも追い風となって堅調に推移。連日の最高値更新となりました。23日には株安を背景にユーロに対してドルが大きく軟化したことをきっかけに上げ幅を広げ、1,160ドル台を突破すると、インド中銀のIMFからの金追加購入の報道などから26日には月間最高値となる1,183ドルをつけました。しかし、27日にアラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の金融不安に関する報道をきっかけとして急落するドルや各国株式の動きを受け、金相場も利益確定の動きが強まり反落。翌28日には1,160ドル台へ値を戻しました。月末にかけて、市場が落ち着きを取り戻すにつれて回復し1,175ドル近辺にて越月しました。

■為替相場
  89円台後半でスタートした11月のドル円為替相場は、10月末に急騰した円の調整売りが入る中、4日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で前月と同様に低金利政策の長期化を示唆する文言が発表されたことを受けて株式市場や高金利通貨に資金が流入し、金利の低い円は相対的に下落、一時91円近辺まで下げました。しかし、6日に発表された米国10月の雇用統計で失業率が10.2%と26年ぶりの悪化を見せたことをきっかけに、ドルは90円を割り込んで反落しました。3日にオーストラリア準備銀行が2ヶ月連続で政策金利を上げたことなど、各国で出口戦略が模索される中での米国雇用情勢悪化は、市場へ米国の低金利政策が長期化するとの印象を強く与えドル離れを後押しする結果となり、月中旬から下旬にかけては利益確定の円売りも散見される中、円は堅調に推移しました。
  24日に公表されたFOMC 議事録にてドル安を容認する内容が伝わったことをきっかけにドルは89円台を割り込むと、その後もドル安の勢いは衰えず、25日には通貨オプション取引に絡んだと見られる円買いも追い風となり、約14年ぶりとなる87円台をつけました。さらに27日にアラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国の政府系金融機関が債務の返済猶予を求めているとの報道が市場に昨年の金融危機の再来を想起させると、資金が逃避的に円に集まり、一時84円台にまで上昇しました。その後は調整も入り、円高に対して本邦政府による市場介入もありうるとの思惑から86円台に戻し、86円台半ばでの越月となりました。

■国内金相場
  国内円建て相場は、ドル円為替相場が円高に推移する動きよりも比較的大きな値動きとなったドル建て相場の動向に左右されました。月間最安値となる3,047円でスタートした後、連日高値を更新するドル建て相場に伴って上値を追い、26日には月間最高値となる3,367円をつけました。その後はドバイの金融不安をきっかけに反落し、3,291円まで下げましたが、ドル建て相場が回復したことで投資需要の買い安心感を誘い、3,301円で越月しました。


プラチナ(Platinum)
■海外プラチナ相場
  1,334ドル近辺でスタートした11月のプラチナ相場は、月初に月間最安値となる1,325ドルをつけた後、NY市場でのプラチナETF上場への期待感などから押し目買いが入り、また総じてドル安基調が継続したことから、1,300ドル台前半を下値とした値動きとなりました。一方で6日に発表された米雇用統計で失業率が10.2%と26年来の悪化となったことで、景気の回復基調に対しては懐疑的な見方も根強く、金相場がドル安から続伸を続ける中でも、プラチナ相場は1,375ドル近辺で利食い売りが活発に入る展開となり、中旬にかけては1,325-1,375ドルと狭いレンジでの値動きとなりました。
  しかし、米国の低金利政策が長期化するとの思惑からドル安が進行、金相場が堅調に推移する中で金とプラチナの値差を意識する投機筋の買いなどもあり、16日に入るとそれまでの上値となっていた1,375ドルを抜けました。大台の1,400ドルに迫ると短期売り持ち筋の損失確定の買いなども巻き込んだ上昇となり、一気に1,430ドル近辺まで上昇しました。また、南アフリカ鉱山会社インパラプラチナ社が来年度の生産見通しを3,200トン引き下げ、27,400トンとしたとの報道も供給不足を意識される結果となり、上昇に拍車をかけました。
  17日に発表されたJM社需給レポートでは、需給面で世界的な景気後退に伴う自動車販売の減退から供給超過が示されるなど弱い面も見られましたが、向こう半年の相場見通しが世界経済の回復を織り込んで1,280-1,550ドルと強い数字が示されたことが好感され投機筋の買いを呼び込み、プラチナは1,400ドル台中盤に上昇しました。この間、実需筋の動きは鈍く、当用買いが一部見られるほかは大きな動きはありました。また11月に入り大きく買い持ちを増やした先物市場での投機家ポジションや、20トンを越える残高となっているプラチナETFの動向を見ると、相場のけん引役は投機筋が主体であったといえます。しかし、月末にかけては足元の材料出尽くし感などもあり、市場の関心は金市場に集中。金相場の動向を眺めながら1,400ドル中盤で投機筋の売買が交錯することとなり、1,442ドルにて越月しました。

  以下、11月17日に発表された英国JM社の「白金族中間調査報告」でのプラチナに関する要旨です。

①09年プラチナ需要は、プラチナ価格の下落に伴った宝飾需要、投資需要の増大が予想
  される一方、大半の地域での自動車生産台数の低下を受けて自動車触媒需要が33.0%減と
  なる見込みから、4.4%減の184.0トンとなるであろう。
②09年プラチナ供給は、1.90%増の188.3トンとなるであろう。南アフリカでは、安全性問題、立坑
  閉鎖、労働争議などの影響から生産量は減少したが、精錬済み在庫の売却により供給は
  増加の見通し。需給では4.3トンの供給過多となる見込み。
③今後6ヶ月間のプラチナ価格は1,280-1,550ドルのレンジで推移する見通し。
  過去12ヶ月間における価格高騰の大半は、ドル安、金価格の上昇、投資家の関心拡大に
  よるものであり、今後もこうした傾向が続くなら、1,550ドルの高値をつける可能性がある。
  それに対して、ドル高になるか金価格が下落すれば、1,280ドル程度まで下落することも
  考えられる。

■国内プラチナ相場
  月間最安値である3,903円でスタートした11月の円建てプラチナ相場は、ドル建て相場が中旬にかけて小動きであり、また円相場も90円近辺での比較的緩やかな推移であったことから4,000円を挟んでもみあう展開となりました。しかし、16日にドル建て相場が急騰すると円建て相場は一気に4,000円を抜けての上昇となり、18日には月間最高値となる4,256円をつけました。しかし、月末にかけてはドバイの政府系金融機関の資金繰りに対する不安などから、利益確定の売りに押され、4,151円近辺に下落しての越月となりました。


以上
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