- ホーム
- 貴金属価格情報
- マーケット市況情報一覧
- 2025年11月の貴金属市況
マーケット市況情報
2025年12月08日 09時00分
2025年11月の貴金属市況2025年12月08日 09時00分
価格ベース
金 プラチナ 銀 US$建:市価 円建:参考小売価格(税抜・月内の営業日における全価格) 為替:TTM
金(Gold)
■ドル建て金相場
3,970ドル近辺でスタートした11月のドル建て金相場は、米国政府機関の閉鎖により公的経済指標が発表されない環境下、月初に中国政府が自国内の税制変更を発表したことで需給環境の変化を見極めたい思惑が強まり、同国の市場参加者が減少する中で推移した。こうした状況のなか株式市場が軟化すると、損失補填の売りが貴金属市場にも波及し、4日には月間最安値となる3,950ドル割れの水準を付けた。その後、中国の税制環境が徐々に明確になり始め、また株式市場の軟調が米早期利下げ期待につながると、金相場は反発に転じた。早々に月初の水準を回復し、利下げ意識からのドル軟調も相まって6日には4,000ドル台を回復した。その後は、米政府機関閉鎖の終わりに向けた期待感が高まる一方、閉鎖解除後に発表される経済指標に対して悲観的な見方が強かったことから、利下げ期待が膨らみ、4,000ドルの節目を上抜けると一段高の展開となった。12日には民間雇用指標の弱い結果を受けて4,150ドル近辺まで上昇し、13日には月間最高値水準となる4,250ドル近辺まで上昇した。ただし、閉鎖終了という不透明感の払拭は市場の視線を世界情勢へと移す契機となり、前月の高値圏で買いを入れ売り抜けができなかった投機家の手じまい売りも重なって、相場は4,050ドル近辺へと下落した。19日、遅れて米9月雇用統計が発表され、10月分は発表を見送り、11月分と合わせて12月16日に公表する方針が示されると、12月9~10日のFOMCのタイミングとのずれから失望感が生じ、FRBが数字的根拠なく利下げを決めるのは難しいのではないかとの思惑が浮上。利下げ期待は大きく後退し、ドルも急速に買い戻される展開となり、金相場は25日頃まで4,100ドル近辺で上値の重い展開が続いた。しかし、24日にFRB理事が利下げ支持と取れる発言をしたことで雰囲気は一変。その後も複数のFRB要人から12月利下げを示唆する発言が相次ぐと、金相場は再び上昇基調を強め、4,150ドル近辺を回復した。週末にかけても底堅く推移し、28日には米先物市場の障害で市場流動性が極端に低下する中、市場混乱に伴う買いも入って上げ幅を拡大し、4,190ドル近辺という月間最高値に匹敵する水準で月を終えた。
■円建て金相場
19,909円でスタートした11月の円建て金相場は、前月末の上昇を受けて売られ、5日には月間最安値となる19,547円を付けた。その後は米経済指標の結果からFOMCでの利下げ観測が高まったことを背景に上昇し、円建て価格は21,000円の水準に接近した。利益確定から売り込まれる展開も見られたが、月後半にかけては利下げ期待に伴うドル安から買い戻され、月末は月間最高値となる21,095円で月を終えた。
プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
1,600ドル近辺でスタートした11月のドル建てプラチナ相場は、前月につけた1,700ドル台から1,650ドル近辺の高値を維持できなかった失望感もあり、売りが優勢となった。株式市場の軟化も重なり売りが続いて、5日には1,525ドル近辺まで下落した。しかし、株式市場が景況感悪化を背景とした利下げ期待から反発に転じると、プラチナ相場も弱含みながら反発し、13日には1,600ドル台を回復した。ただし、この水準では前月高値圏で買いを入れていた短期筋の売りが膨らみ、相場は再び下落した。こうした売り圧力は今後も高値定着を阻むとの心理を強め、20日に遅れて発表される米9月雇用統計を控えて投機筋の売りが散発的に出る展開が続き、21日には月間最安値となる1,500ドル割れの水準まで下落した。雇用統計発表後にはFRB理事の利下げに肯定的な発言が意識されて緩和期待が強まり、ドルが軟化。金・銀相場が上昇基調に回帰する中で、プラチナにも出遅れ感を意識した買いが入り、27日には1,600ドルを再び回復した。28日には米先物市場のシステム障害により流動性が低下する中、値動きが荒くなり、月間最高値となる1,640ドル近辺まで上昇して月を終えた。
■円建てプラチナ相場
7,973円でスタートした11月の円建てプラチナ相場は、前月の上昇から売りが先行し7日に月間最安値となる7,709円を付けた。他貴金属同様中旬にかけて上昇したものの、1,600ドルの水準を意識した売りと米株式の軟調から反落し、以降は方向感の出にくい推移となった。月末には金相場に対する出遅れ感に加えて中国先物市場での取り扱い開始が材料視されて値を上げ、月間最高値となる8,347円で月を終えた。
銀(Silver)
■ドル建て銀相場
48.60ドル近辺でスタートした11月のドル建て銀相場は、週前半こそ金相場と連動した動きであったが、米政府が6日に銅と銀を新たに重要鉱物リストへ追加すると発表したことで雰囲気が変わり始めた。株式市場が軟調となる場面でももつれることなく先んじて反発し、その後はじり高の展開となった。10日に50ドルを回復すると、米政府機関閉鎖解除を巡る相場の中で54ドル近辺まで急騰。金相場や株式市場の下落で売られる場面はあったものの、50ドルの節目がサポートとなり下値は堅かった。月後半は、12月利下げに肯定的なFRB理事の発言が重なりドルが軟化する中、上げ幅を拡大。月間最高値水準で月を終えた。
■円建て銀相場
242.30円でスタートした11月の円建て銀相場は、金相場の下落に連れ安となり5日に月間最安値となる237.00円を付けた。金相場同様、月半ばの上昇局面では270円台まで値を上げ、売り一巡後は金に対する割安感から投機的な買いを集める展開となり、月末は月間最高値273.50円で月を終えた。
■為替
本邦休日の中、154.10円近辺でスタートした11月の為替相場は、本邦財務相による円安けん制発言が意識され円高が進み、5日には日経平均の大幅下落も重なって月間最高値となる153.49円まで円高が進行した。しかし、発言が口先介入にとどまるとの見方から早々に円は売り戻され、中旬にかけては米政府機関閉鎖解除の報道などを背景にドル高が進行し、円安基調へ転じた。その後、本邦新政権の財政拡張姿勢が示されると円安が一段と進み、155円近辺を上抜けて急速に円安が進行し、21日には157.49円まで円安が進んだ。この水準では本邦財務相の口先介入なども見られ、介入警戒感から円高へと転じた。月後半はFRB要人の利下げに前向きな発言が続き、日米金利差縮小が意識され円高方向に動きやすい展開となり、156.63円まで円高に振れて月を終えた。
略語注釈
FOMC:米連邦公開市場委員会
FRB:米連邦準備制度理事会
金 プラチナ 銀 US$建:市価 円建:参考小売価格(税抜・月内の営業日における全価格) 為替:TTM
金(Gold)
■ドル建て金相場
3,970ドル近辺でスタートした11月のドル建て金相場は、米国政府機関の閉鎖により公的経済指標が発表されない環境下、月初に中国政府が自国内の税制変更を発表したことで需給環境の変化を見極めたい思惑が強まり、同国の市場参加者が減少する中で推移した。こうした状況のなか株式市場が軟化すると、損失補填の売りが貴金属市場にも波及し、4日には月間最安値となる3,950ドル割れの水準を付けた。その後、中国の税制環境が徐々に明確になり始め、また株式市場の軟調が米早期利下げ期待につながると、金相場は反発に転じた。早々に月初の水準を回復し、利下げ意識からのドル軟調も相まって6日には4,000ドル台を回復した。その後は、米政府機関閉鎖の終わりに向けた期待感が高まる一方、閉鎖解除後に発表される経済指標に対して悲観的な見方が強かったことから、利下げ期待が膨らみ、4,000ドルの節目を上抜けると一段高の展開となった。12日には民間雇用指標の弱い結果を受けて4,150ドル近辺まで上昇し、13日には月間最高値水準となる4,250ドル近辺まで上昇した。ただし、閉鎖終了という不透明感の払拭は市場の視線を世界情勢へと移す契機となり、前月の高値圏で買いを入れ売り抜けができなかった投機家の手じまい売りも重なって、相場は4,050ドル近辺へと下落した。19日、遅れて米9月雇用統計が発表され、10月分は発表を見送り、11月分と合わせて12月16日に公表する方針が示されると、12月9~10日のFOMCのタイミングとのずれから失望感が生じ、FRBが数字的根拠なく利下げを決めるのは難しいのではないかとの思惑が浮上。利下げ期待は大きく後退し、ドルも急速に買い戻される展開となり、金相場は25日頃まで4,100ドル近辺で上値の重い展開が続いた。しかし、24日にFRB理事が利下げ支持と取れる発言をしたことで雰囲気は一変。その後も複数のFRB要人から12月利下げを示唆する発言が相次ぐと、金相場は再び上昇基調を強め、4,150ドル近辺を回復した。週末にかけても底堅く推移し、28日には米先物市場の障害で市場流動性が極端に低下する中、市場混乱に伴う買いも入って上げ幅を拡大し、4,190ドル近辺という月間最高値に匹敵する水準で月を終えた。
■円建て金相場
19,909円でスタートした11月の円建て金相場は、前月末の上昇を受けて売られ、5日には月間最安値となる19,547円を付けた。その後は米経済指標の結果からFOMCでの利下げ観測が高まったことを背景に上昇し、円建て価格は21,000円の水準に接近した。利益確定から売り込まれる展開も見られたが、月後半にかけては利下げ期待に伴うドル安から買い戻され、月末は月間最高値となる21,095円で月を終えた。
プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
1,600ドル近辺でスタートした11月のドル建てプラチナ相場は、前月につけた1,700ドル台から1,650ドル近辺の高値を維持できなかった失望感もあり、売りが優勢となった。株式市場の軟化も重なり売りが続いて、5日には1,525ドル近辺まで下落した。しかし、株式市場が景況感悪化を背景とした利下げ期待から反発に転じると、プラチナ相場も弱含みながら反発し、13日には1,600ドル台を回復した。ただし、この水準では前月高値圏で買いを入れていた短期筋の売りが膨らみ、相場は再び下落した。こうした売り圧力は今後も高値定着を阻むとの心理を強め、20日に遅れて発表される米9月雇用統計を控えて投機筋の売りが散発的に出る展開が続き、21日には月間最安値となる1,500ドル割れの水準まで下落した。雇用統計発表後にはFRB理事の利下げに肯定的な発言が意識されて緩和期待が強まり、ドルが軟化。金・銀相場が上昇基調に回帰する中で、プラチナにも出遅れ感を意識した買いが入り、27日には1,600ドルを再び回復した。28日には米先物市場のシステム障害により流動性が低下する中、値動きが荒くなり、月間最高値となる1,640ドル近辺まで上昇して月を終えた。
■円建てプラチナ相場
7,973円でスタートした11月の円建てプラチナ相場は、前月の上昇から売りが先行し7日に月間最安値となる7,709円を付けた。他貴金属同様中旬にかけて上昇したものの、1,600ドルの水準を意識した売りと米株式の軟調から反落し、以降は方向感の出にくい推移となった。月末には金相場に対する出遅れ感に加えて中国先物市場での取り扱い開始が材料視されて値を上げ、月間最高値となる8,347円で月を終えた。
銀(Silver)
■ドル建て銀相場
48.60ドル近辺でスタートした11月のドル建て銀相場は、週前半こそ金相場と連動した動きであったが、米政府が6日に銅と銀を新たに重要鉱物リストへ追加すると発表したことで雰囲気が変わり始めた。株式市場が軟調となる場面でももつれることなく先んじて反発し、その後はじり高の展開となった。10日に50ドルを回復すると、米政府機関閉鎖解除を巡る相場の中で54ドル近辺まで急騰。金相場や株式市場の下落で売られる場面はあったものの、50ドルの節目がサポートとなり下値は堅かった。月後半は、12月利下げに肯定的なFRB理事の発言が重なりドルが軟化する中、上げ幅を拡大。月間最高値水準で月を終えた。
■円建て銀相場
242.30円でスタートした11月の円建て銀相場は、金相場の下落に連れ安となり5日に月間最安値となる237.00円を付けた。金相場同様、月半ばの上昇局面では270円台まで値を上げ、売り一巡後は金に対する割安感から投機的な買いを集める展開となり、月末は月間最高値273.50円で月を終えた。
■為替
本邦休日の中、154.10円近辺でスタートした11月の為替相場は、本邦財務相による円安けん制発言が意識され円高が進み、5日には日経平均の大幅下落も重なって月間最高値となる153.49円まで円高が進行した。しかし、発言が口先介入にとどまるとの見方から早々に円は売り戻され、中旬にかけては米政府機関閉鎖解除の報道などを背景にドル高が進行し、円安基調へ転じた。その後、本邦新政権の財政拡張姿勢が示されると円安が一段と進み、155円近辺を上抜けて急速に円安が進行し、21日には157.49円まで円安が進んだ。この水準では本邦財務相の口先介入なども見られ、介入警戒感から円高へと転じた。月後半はFRB要人の利下げに前向きな発言が続き、日米金利差縮小が意識され円高方向に動きやすい展開となり、156.63円まで円高に振れて月を終えた。
略語注釈
FOMC:米連邦公開市場委員会
FRB:米連邦準備制度理事会



