マーケット市況情報

2025年09月08日 16時00分

2025年8月の貴金属市況2025年09月08日 16時00分

価格ベース
金 プラチナ 銀 US$建:市価 円建:参考小売価格(税抜・月内の営業日における全価格) 為替:TTM

金(Gold)
■ドル建て金相場
8月のドル建て金相場は、7月31日まで開かれたFOMCで利下げに慎重な姿勢を受けたドル高の流れから下押しされて月間最安値となる3,290ドル近辺でスタートした。1日に発表された米7月雇用統計が市場予想を下回る内容だったことに加え、過去2カ月の結果も大きく下方修正されたことで、後退していた利下げ観測が改めて強く意識されドル安が進行し、金相場は3,350ドル近辺まで急騰した。加えて7月のISM非製造業景況指数も市場予想を下回ったことで米経済の足元の弱さが意識されると翌週には3,380ドル台半ばまで続伸した。その間、スイスに対する米追加関税の報道の中で金地金を対象に含めるか否かが取りざたされていたことで、米国内での現物需要が盛り上がりをみせたことも相場を下支えした。7日には一時3,400ドルまで上昇し、金地金に対する関税賦課の報道はその後大統領や当局に否定され、さらに対中国向け関税停止措置を延長する報道がなされると不透明感の解消を受けてドル買いが強まり、金相場は3,350ドル近辺まで値を下げた。中旬にかけては9月の利下げが確実視される中で、7月米CPIが市場予想通りの結果となり利下げ観測が強まるも、7月米PPIが市場予想比で大幅上昇し利下げ観測が後退。これらを受けたドルの浮沈に合わせて金相場は上下に値が動く展開となった。その後、市場の関心は22日から開催されるジャクソンホール会合とFRB議長講演へと移り、レンジ相場が形成された。注目されていた同会合でFRB議長は労働市場の下振れ警戒感を示唆。市場の利下げ期待が再燃すると、加えて米大統領によるFRB理事解任への報道も金融政策への政府介入警戒感が広がる形となり、ドル安が進み金相場は3,370ドル近辺まで上昇した。月末にかけても、米大統領によるFRB理事解任報道を背景とした金融政策の独立性への懸念が意識され金相場は堅調となると3,400ドルを突破し、月末も続伸を続け月間最高値となる3,450ドル近辺で越月した。

■円建て金相場
15,996円でスタートした8月の円建て金相場は、米利下げ観測を背景に買いが先行し16,000円台に乗せたものの、その後はドル建て相場の軟化や円高進行を受けて下落基調を強め、20日には月間最安値の15,830円を付けた。月後半はFRB議長の講演をきっかけに9月利下げへの期待が高まり、買い戻しの動きが広がったほか、米大統領によるFRB理事解任報道などを受けたリスク回避の買いも相場を押し上げ、29日に月間最高値となる16,190円を付けた。

プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
前月末のFOMCでのドル高の流れを受けて軟調な地合いの中で、1,300ドル近辺でスタートした8月のドル建プラチナ相場は、月間最安値となる1,260ドル台半ばまで値を下げたものの、1日の米雇用統計の結果を受けドルが下落に転じると、プラチナ相場は一転して反発する展開となり4日には1,350ドル近辺まで上げ幅を拡大した。その後は、独自材料に乏しく夏季休暇シーズンで取引の少ない中、1,300ドルから1,350ドルのレンジ相場が形成された。13日には米財務長官が政策金利の引き下げを支持する姿勢を示したことでドル安が一層進むと、プラチナ相場は15日には月間最高値となる1,360ドル近辺まで上昇した。その後も、FRB議長の講演を受けて利下げ期待が強まると、ドルが浮沈する動きに合わせてプラチナ相場も狭いレンジでの往来相場を継続した。米大統領によるFRBに対しての人事介入を背景とした米国金融政策の独立性の不安視がドル安基調を強める中で、月末にかけては底堅い推移となり1,300ドル台後半で越月した。

■円建てプラチナ相場
6,441円でスタートした8月の円建てプラチナ相場は、前月末の急落を受けて安値拾いの買いに支えられ、月半ばまで堅調に推移した。その後は為替が円高方向に振れたことで軟化し、20日には月間最安値となる6,334円まで下落した。翌21日以降はドル建て相場の上昇や為替の戻りを受けて急反発し、25日には月間最高値の6,587円まで上昇。月末にかけては上値が重くなり、6,526円で月を終えた。

銀(Silver)
■ドル建て銀相場
月間最安値水準となる36.70ドル台前半でスタートした8月のドル建て銀相場は、1日に発表された米雇用統計の結果を背景とした米国内での労働市場の下振れを意識したドル売りとそれを受けた金相場の上昇に追随し37.50ドル近辺まで上昇、4日には38.50ドル近辺まで続伸した。14日には米PPIが市場予想を上回ったことで利下げ観測が後退し、銀相場は38.00ドルを割り込むまで下落。この流れを引き継ぐ展開がしばらく続き、20日には37.00ドルを割るまで続落した。しかし、ジャクソンホール会合を前にポジション調整の買い戻しから38.00ドルを回復すると、同会合でのFRB議長による労働市場の下振れリスクを意識する発言を背景に来月の利下げ期待が高まると、ドル安を背景に28日には月間最高値近辺となる39.00ドル近辺まで上昇し越月した。

■円建て銀相場
180.80円でスタートした8月の円建て銀相場は、4日に月間最安値の178.20円を付けた後、上昇基調に転じ180円台で推移する展開となった。月後半は為替の影響で下落する場面も見られたが、金相場の上昇に追随する形で反発し、25日には月間最高値となる187.70円まで上昇した。その後も同値近辺を維持し、186.60円で月を終えた。

■為替
前月のFOMCの結果を受けたドル高の流れから、月間最高値となる150.80円近辺でスタートした8月の円相場は、1日に発表された7月の米雇用統計が市場予想を下回ったことに加え、過去2カ月分に関しても下方修正されたことで、労働市場の下振れリスクが意識され利下げ期待感からドル安円高が進行し、ドルは5日には一時146円台まで値を下げた。その後、急激な下落に対しての買戻しから147円台へと値を戻すも、米7月ISM非製造業景気指数が予想を下回ると再び下落した。12日には一時148.40円台半ばまで上昇するも、13日には米財務長官が政策金利の引き下げを支持する姿勢を示したことで再び円高が進むと、14日には146.20円近辺まで下落した。その後はジャクソンホール会合を控えて様子見ムードが強まると、147円台後半を中心とした相場展開を形成した。22日に行われたジャクソンホール会合ではFRB議長が雇用に関し下振れリスクを明言。これが9月の利下げを示唆すると解釈されドル安が進み、総じて円高ドル安基調を作り146.93円で越月した。


略語注釈
FOMC:米連邦公開市場委員会
ISM:全米供給管理協会
CPI:消費者物価指数
PPI:生産者物価指数
FRB:米連邦準備制度理事会
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