マーケット市況情報

2025年05月27日 16時00分

2025年5月の貴金属市況2025年05月27日 16時00分

価格ベース
金 プラチナ 銀 US$建:市価 円建:税抜参考小売価格 為替:TTM

金(Gold)
■ドル建て金相場
3,310ドル近辺でスタートした5月のドル建て金相場は、4月の米雇用統計の結果が市場予想を上回り労働市場の底堅さが示され軟調に推移するも、イスラエル政府が推し進めることを発表した軍事作戦に対しての地政学的リスクの高まりや、インドによるパキスタン領内での軍事作戦を背景に3,450ドル近辺まで上昇した。しかし、10日にはインド・パキスタン間での即時停戦で合意し、加えてジュネーブで開催された米中貿易協議においても米大統領が「多くの合意を得た」との成果を強調したことで貿易摩擦をめぐる緊張が緩和したために3,200ドル近辺まで下落した。その後も米中両政府が互いに課した追加関税の引き下げに合意し、貿易交渉の進展が期待され一時3,130ドル近辺まで続落した。その後、安値拾いの買いが反発を誘うと、16日には米大手格付け会社が米国債の格付けを1段階引き下げたことで米国債が大きく売られ、金相場は安全資産としての買いが入り3,250ドル近辺まで値を戻した。加えて20日にはイスラエルが核攻撃を示唆との報道が材料視され3,300ドルに乗せると、22日には米大統領が掲げる大型減税法案が米議会下院で可決されたことで連邦政府の持つ債務が拡大するとの懸念から3,350ドル近辺まで続伸した。買い一巡後は利食い売りが相場を押し下げ、一時3,250ドル近辺まで下落したが、月末にかけては切り返し3,310ドル近辺で越月した。

■円建て金相場
月間最安値の15,030円でスタートした5月の円建て金相場は、インド・パキスタンの軍事衝突を背景に安全資産としての買いが入り、8日には月間最高値の15,690円を付けた。その後は米中貿易交渉進展への期待感から売りが優勢となり、月初からの上げ幅を失う格好となった。月半ば以降は米国債の格下げに加え、米大統領の発言をきっかけに関税政策への懸念が再燃し、ドル安が進んだことで金相場は買い戻しの動きが広がり、15,363円で月を終えた。


プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
970ドル近辺でスタートした5月のドル建てプラチナ相場は、月初から5日まで中国の労働節に伴い市場参加者が限られたことで目立った動きはなかったものの、連休明けにはISM非製造業景気指数が市場予想を上回ったことが好感され990ドル近辺まで上昇した。その後もFRB議長がFOMC後の会見で米国経済に対し堅調との見方を示した一方、関税政策による景気への影響に言及し、ドル安となったことから底堅く推移。9日には米英貿易協定の合意が発表されたほか、対中関税に関しても一定の譲歩を示したことが好感され1,000ドルを突破した。16日には大手格付け会社が米政府による債務の増加を理由に米国債の格付けを1段階引き下げ、ドル安となったことを材料に20日には1,060ドル近辺まで急伸した。21日以降も、米大統領が推し進める大型減税案が下院で可決されると、財政悪化への懸念を背景にドル安が進んだことを受けて、23日には1,100ドルまで続伸した。しかし、急激な上昇に対する利食い売りで月末にかけては下落基調となり、1,060ドル近辺で越月した。

■円建てプラチナ相場
月間最安値の4,558円でスタートした5月の円建てプラチナ相場は、金相場の上昇に追随して買いが先行し、月半ばにかけて堅調に推移した。その後、ドル建て相場が1,000ドルの節目を上回り、投機筋の買いが加速したことで29日には月間最高値となる5,105円を付けた。月末は利益確定の売りに上値を抑えられ、5,065円で月を終えた。


銀(Silver)
■ドル建て銀相場
32.50ドル近辺でスタートした5月の銀相場は、労働節に伴い5日まで中国市場が閑散としていたことから目立った動きはなかったものの、連休明けには中東情勢の緊張の高まりを背景とした金相場に追随し33.00ドル近辺まで上昇した。12日に米中貿易協議が行われ、関税率の引き下げが合意されたものの、銀相場には材料視されず、その後も手掛かりとなる材料に乏しく32.50ドルを挟んでのレンジ相場が形成された。20日にドル安を背景に金相場が上昇すると、銀相場も追随して33.50ドルを突破し、月末まで同値近辺を維持し33.10ドル台半ばで越月した。

■円建て銀相場

月間最安値の153.50円でスタートした5月の円建て銀相場は、手掛かり材料に乏しくドル建て相場が小動きとなる中、月半ばにかけて為替が円安方向に振れたことで14日には月間最高値となる159.20円を付けた。その後は金相場の動向を眺めて売り買いが交錯し、157.20円で月を終えた。


■為替
142.90円近辺でスタートした5月の為替相場は、日銀金融政策決定会合の結果や日銀総裁の会見を受けて、利上げ時期が後ずれするとの見方からドルが上昇し144.00円を突破すると、ISM製造業景気指数が予想を上回る結果となり、一時145.70円台半ばまで続伸した。その後発表された4月の米雇用統計では労働市場の底堅さが示されたが、3月の米貿易収支がトランプ関税を警戒した輸入増加に伴い過去最大の赤字を記録したことを受けて、ドルは142.30円台半ばまで下落した。7日のFOMCでは予想通り政策金利の据え置きが決定されたものの、会合後の会見ではFRB議長が足元の米国経済に対し堅調との見方を示したことでドル買いの動きが強まり、146.20円近辺に上昇した。12日には米英貿易交渉が合意に至ったことや、米中間でも相互関税の引き下げが報じられたことで148.70円近辺まで続伸した。しかし、4月の米消費者物価指数が市場予想を下回ったことで反落すると、その後発表された経済指標も軒並み市場予想を下回ったことで、15日には145.00円を割り込む水準まで下落した。19日には米大手格付け会社による米国債の格下げに伴い、米国の財政悪化が意識されドル売りが加速すると、22日には143.00円近辺まで続落した。26日には米大統領による対EU関税発動延期の発表を受けてドルが一時買い戻されるも、その後は再びドル安基調となり142.20円近辺まで下落した。ドル売り一巡後は反動高となり144.00円を回復すると、29日には米裁判所によるトランプ関税の一部差し止め命令を受けて146.20円近辺まで上昇したが、月末にかけては低調な米経済指標や米中貿易摩擦への警戒感などを背景に反落し144.10円近辺で越月した。


略語注釈
ISM:全米供給管理協会
FRB:米連邦準備制度理事会
FOMC:米連邦公開市場委員会
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