マーケット市況情報

2025年05月12日 12時00分

2025年4月の貴金属市況2025年05月12日 12時00分

価格ベース
金 プラチナ 銀 US$建:市価 円建:税抜参考小売価格 為替:TTM

金(Gold)
■ドル建て金相場
3,130ドル近辺でスタートした4月のドル建て金相場は、3日に米政権により相互関税賦課が発表されると、徐々に株式市場を中心に不安定性を増していき、4日に中国による報復関税が報じられると、株式市場等が大幅下落へと向かい、これに伴う損失補填の売りが金相場にも広がったことで、7日には月間最安値となる2,970ドル近辺へと下落した。市場がこれらの状況分析に時間を要する中、当初はリスク回避の目的で買われていた米国債なども、米国経済に対する不信感が進むにつれて売りが強まり、またドルも売られる展開となると、逃避資金の受け皿として金相場への資金流入が再開し、下げ止まりを見せた。その後9日に一部地域に対する米国による上乗せ関税の90日間停止が発表されると、急速に反発し3,000ドル台へと値を戻し、その後値を上げていった。これらの混乱の中で4日の米雇用統計や10日の米消費者物価指数なども発表されたが、大きく材料視されることなく、米大統領によるFRB議長の進退を示唆する発言や利下げを期待する発言などが報じられると、米金融政策への不透明感から米国債の売りがさらに進み、結果金相場に資金が流入し、3,300ドルを超えていくこととなった。その後も金の買いは続き22日には月間最高値となる3,500ドル近辺まで上昇するも、米政権の気勢も、株、債券、通貨のトリプル安の中でややトーンダウンしてきたことで、株式市場が反転し、米国債も買い戻されていき、金相場も節目到達の達成感から反落に転じ、先述の不透明感からの買いが解消されていく展開となり23日に3,300ドルを割り込む水準まで下落した。その後、月末にかけては貿易交渉の行方をにらんで方向感の出にくい相場となり、3,300ドルを挟んで上下に往来する中、3,290ドル近辺で越月した。

■円建て金相場
15,096円でスタートした4月の円建て金相場は、米相互関税発表後の世界同時株安を受けて換金売りが膨らみ、9日には月間最安値となる14,005円を付けた。売り一巡後は関税政策をめぐる米国への不信感から安全資産としての買いが活発化し、米大統領がFRB議長解任を検討との報道が伝わったことも相場を押し上げ、22日には月間最高値となる15,600円を付けた。その後は米大統領がFRB議長解任を否定したほか、米中貿易摩擦の緩和期待から売り優勢の展開となり15,237円で月を終えた。


プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
月間最高値水準となる990ドル台後半でスタートした4月のドル建てプラチナ相場は、前月末に1,000ドルを付けた展開に対し投機筋の利益確定の動きが優勢となる中、米政権に対する関税政策の発表を控えた警戒感から軟調な地合いとなった。日本時間3日に米国による相互関税が発表されると、株式市場の急落などに巻き込まれる形で下落幅を拡大し、貴金属の現物地金が関税対象の適用外となったことなどが明らかになると売りが拡大していく展開となり、7日には月間最安値となる900ドルを割り込む水準をつけた。ただ、この価格水準は長らく継続しているレンジ相場の中の下限でもあり、安値拾いの買いが活発化すると早々に920ドル近辺まで値を戻した。10日頃までは市場の混乱が続く中で、不安定な値動きとなったが、米経済に対する先行き不透明感からドル安が進み、金相場が騰勢を強めるとそれを追うように値を上げていく展開となり中旬には960ドル台へと上昇した。その後、改めて関税の影響から世界経済の減速に対しての警戒感が強まったほか、1,000ドルの節目に対する警戒感も強まってきたことから上げ足を鈍らせながらも、975ドル近辺へと上昇した。月末にかけては関税交渉に対して米国の前向きな姿勢も見受けられたことが好感され、990ドルまで上昇する場面も見られたが、このレベルでは売りも根強く、970ドル近辺で越月した。

■円建てプラチナ相場
月間最高値となる4,869円でスタートした4月の円建てプラチナ相場は、米相互関税発表に伴う世界的な株安を背景に売りが先行し、7日には月間最安値となる4,300円まで下落した。売りが一服すると金相場の上昇を眺めて買い戻しの動きが広がり、月下旬には4,600円近辺まで反発したが、月末はやや軟化し4,592円で月を終えた。


銀(Silver)
■ドル建て銀相場
月間最高値水準となる34.10ドル近辺でスタートした4月のドル建て銀相場は、月初は他貴金属同様に米国の関税発表に伴う軟調な相場展開の中で7日には月間最安値となる28.50ドル近辺まで下落する場面が見られた。このレベルでは安値拾いの買いが見られて30ドル台を回復したが、関税賦課による経済環境が見通しにくい中で買いが続かない展開がみられた。その後、9日に相互関税の猶予が発表されたことで、喫緊の影響が低減したとの見方が広がると、急騰する金相場に対する出遅れ感が意識されることとなり、月末にかけて33ドル台まで値を戻していく展開となった。ただ、産業系需要が米中貿易摩擦の中で減速する可能性も意識されたことから、上昇ピッチはだんだんと緩やかになっていき、月初の水準までは値を戻しきれず、月末にかけてはやや値を崩し32.70ドル近辺で越月した。

■円建て銀相場
月間最高値となる167.80円でスタートした4月の円建て銀相場は、米相互関税発表後の世界的な株安の連鎖が続く中で金相場の下落に追随し、7日には月間最安となる137.40円に下落した。その後は金相場の上昇を好感した買いが入り、月下旬には158円台まで値を戻したが、月末にかけては上値が重くなり154.40円で月を終えた。


■為替
月間最高値となる149.84円でスタートした4月の為替相場は、日本時間3日にトランプ米大統領が諸外国へ相互関税を発表すると、株式市場が急落する展開の中でドル安が大幅に進んだ。その後の中国の報復関税発表などが嫌気される中でこの流れが続き、7日には145円台をつけた。その後、主要国の関税交渉に向けた動きの報道が好感されて一時値を戻す場面も見られたが、米中間の関税賦課の応酬などから長続きせず、米関税による先行き不透明感から、株安、ドル安、国債安の米国がトリプル安の様相を呈したことで、11日に143円台までドル安円高が進行することとなった。中旬にはFRB議長が関税の影響を懸念する趣旨の発言をしたことで、より警戒感が強まると、その後欧米でイースター休暇を控えて市場参加者が減る中で値動きはさらに荒くなり、22日には一時140円を割り込む場面も見られた。その後米財務長官が対中関税交渉に楽観的な見方をしめしたことや、米政府の姿勢が軟化したと受け取れるような報道も見られるようになると緩やかにドルが買い戻される展開となり、143円台を回復し、142.57円で越月した。


略語注釈
FRB:米連邦準備制度理事会
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