マーケット市況情報

2025年03月10日 16時00分

2025年2月の貴金属市況2025年03月10日 16時00分

価格ベース
金 プラチナ 銀 US$建:市価 円建:税抜参考小売価格 為替:TTM

金(Gold)
■ドル建て金相場
月間最安値水準となる2,800ドル割れでスタートした2月のドル建て金相場は、米関税政策に対する不安感とそれに伴うインフレ警戒感から米国へ移送する目的の買いが強まり、月初から強含む展開となった。4日にカナダ、メキシコに対しての関税賦課延期が発表されたが、中国に対し10%の追加関税が実施されると、中国政府も報復関税を発表したことが両国間での貿易戦争の様相を呈し、諸外国へと波及する不安感も強まったことで、金相場も2,850ドル台半ばまで上昇した。ISM非製造業景気指数などの米経済指標は市場予想を下回る結果が見られ、ドル安が進んだことも相場を下支えする要因となった。7日に米雇用統計が発表されると、強弱入り混じる結果を受けて乱高下する中で2,900ドルの大台を挟んだ展開が見られた。12日には米1月CPIが発表され市場予想を上振れたことで、利下げを急ぐ場面ではないというこれまでのFRBの姿勢を後押しするものと受け止められ、金相場も値を下げる場面が見られたものの、関税政策面の不安が拭えない中で下落はすぐに買い場として意識されて反発した。その後、14日に米1月小売売上高が市場予想を下回ると、関税政策による経済面での減速が意識され始め、ドル安が一段と進行し、また米大統領の関税関連の発言や撤回・延期など予断を許さずにぶれる不安定な市場状況を背景に、金相場は乱高下しつつ2,900ドル半ばを目指してさらに上昇することとなった。ただ、中旬以降にウクライナ情勢で停戦交渉などの話題も聞かれ、地政学的リスクがやや和らいだことが下押し材料として見られたほか、FRB要人により利下げに慎重な姿勢が改めて示されたことなどから、2,950ドル近辺の最高値水準では投機家の利益確定の売りも出始めることとなり、値動きが激しい中でも、少しずつ上値が抑えられる相場を形成。月末にかけては、米経済指標なども弱い結果が続き、景気の面でも先行き不透明感が出たことで、株式や商品等で下落の流れが強まると、金相場にも利益確定の売りが見られる展開となり、月中の上げ幅をほぼ打ち消して2,800ドル台前半まで値を下げ越月した。

■円建て金相場
14,003円でスタートした2月の円建て金相場は、米関税政策への警戒感から安全資産としての買いが入り、13日には月間最高値となる14,463円まで上昇した。月後半にドル建て相場は一段高となり2,950ドル台の過去最高値を付けたが、為替が円高に振れたことで円建て相場の上値は抑えられた。月末にかけては利益確定の売りが膨らんだことで下げ足を速め、月間最安値となる13,911円で月を終えた。


プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
970ドル近辺でスタートした2月のドル建てプラチナ相場は、近年の主要レンジである900~1,000ドルを意識する状況が継続することとなったが、金相場などと同じく米関税政策に対する不安感から米国へ在庫が集中する動きが活発であった。米国に向けた旺盛な買いに支えられる形で月初より1,000ドルを目指す展開となるも、1,000ドルの大台を超えた水準では近年の堅い上値であることが意識されての利益確定売りも見られ、985~1,010ドルという近年まれにみる狭いレンジでの攻防戦を中旬まで継続することとなった。また、この場面で下値を支える一因となったのが、米国への現物の移送に伴い、急速にタイト化したロンドン・チューリッヒの現物市場の状況であった。同市場は価格の中心地であり、大量のインゴットが引き出され、米国に運ばれる中で地金の貸借レート(リースレート)が急騰したことに伴い、一部の産業用需要などが購入を余儀なくされたことも相場を下支えする要因になったと思われる。結果、14日に月間最高値となる1,015ドル近辺まで上昇した。しかし、14日の米1月小売売上高が予想を下回るなど、月後半に向かうにつれて米関税政策の強硬な姿勢などが、景気に与える悪影響などに焦点が移り始めるにつれて、需要全体の落ち込みへと市場の警戒感がシフトしていくこととなった。また、タイト化していたロンドン・チューリッヒの市場も緩やかに平常化に向かい始めたことで、先述した下値を支える要因が弱まり始め、価格は景況感を映し軟調へと転じ始めることとなり、月末には月間最安値となる950ドルを割り込んだ水準まで下落して越月した。

■円建てプラチナ相場
4,929円でスタートした2月の円建てプラチナ相場は、売りが先行したものの金相場の上昇を眺めて反発し、13日には月間最高値となる5,008円を付けた。月後半は米関税政策による景気減速懸念などを背景に下落基調が続き、円高進行も相まって月間最安値となる4,645円で月を終えた。


銀(Silver)
■ドル建て銀相場
31ドル近辺でスタートした2月のドル建て銀相場は、米大統領によるカナダやメキシコへの追加関税賦課の報道などから、米国へのAg供給の中心的な地域の話題だけに警戒感が強まり、上昇基調を形成した。4日にはカナダ・メキシコは延期となるも、中国へ追加関税の賦課が発表され、中国も報復関税を発表するなど貿易戦争の様相となり、金相場と同様に米国に向かう現物需要の動きが活発化。14日には月間最高値の水準となる33ドル台半ばまでの上昇を見せる展開となった。しかし、中旬以降は米国の関税政策の結果生じる経済減速の流れや、世界的な景気の下押し圧力となる不安感から売りが先行することとなり下落へと転じると、銀相場も遅れて月後半には下落に転じたことで、じり安の展開を形成することとなった。月末には月初の水準を割り込む場面も見られ、31ドル近辺で越月した。

■円建て銀相場
159.50円でスタートした2月の円建て銀相場は、金相場の上昇を眺めて底堅く推移した。19日には月間最高値となる164.10円まで上昇したが、その後は金相場が軟化したことを受けて下落基調に転じ、月間最安値となる154.00円で月を終えた。


■為替
JPY
月間最高値である155.72円でスタートした2月のドル円相場は、トランプ大統領の関税政策に対する警戒感からドル売り円買いが強まり月初より円高基調を形成した。加えて米ISM非製造業景気指数の悪い結果や、本邦政府の国内のインフレ状態認識が報じられたことで、円金利の先高観と米金利の先安観が強まり7日には151.30円まで円高が進行した。米国の関税政策の不透明感が拭えぬ中、本邦の休日を挟んで乱高下しつつ一時は12日の米1月CPIの物価高止まりの結果から154.53円まで戻した円相場ではあったが、14日以降は関税政策による米景気の減速懸念や、そもそもの政策の不透明性が嫌気されて、再び円高基調へと戻る展開となった。その後月末にかけて本邦中央銀行の利上げ姿勢なども意識されて、ドルは150円を割り込む方向へ水準を切り下げていくこととなった。その後も状況が明確化しない米関税政策などから円相場への資金逃避的な動きが強まると、ドルは26日に月間最安値の水準となる148.88円を付け、149.58円で月を終えた。


略語注釈
ISM:全米供給管理協会
CPI: 消費者物価指数
FRB:米連邦準備制度理事会
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