マーケット市況情報

2025年02月10日 16時00分

2025年1月の貴金属市況2025年02月10日 16時00分

価格ベース
金 プラチナ 銀 US$:市価 円建:税抜参考小売価格 為替:TTM

金(Gold)
■ドル建て金相場
年末年始で流動性が低下し値動きの荒い中、月間最安値水準となる2,620ドル台半ばでスタートした1月のドル建て金相場は、米国新政権の樹立を控え、対象範囲が不透明な関税政策に対する警戒感から米国に現物が輸送する動きが加速するなかで、6日に中国人民銀行が12月に2か月連続で10トンの金準備の積み増しを発表されたことが大きく相場を押し上げる材料となり2,700ドル近辺を目指す動きとなった。一方で、10日の米雇用統計は市場予想を上回る結果となり、経済環境の底堅い米国の状況と、その前後のFOMC議事録等での利下げを急がない姿勢などからのドル高が上値を抑えたものの、20日の大統領就任に近付くまでの間、諸外国への関税政策が懸念材料として反復的に取りざたされる中で、中旬からは米先物市場の値動きも理論値の定まらない先行き不透明感が露わになる状況が続いた。このような中、世界中から買われ米国へと急ぎ運ばれていく展開から、堅調な相場展開が続き2,700ドル台を定着させた。その後、21日の就任式後にはカナダ・メキシコ、中国へ関税をかけることが発表された。事前警戒通りではあったものの、インフレ加速を彷彿とさせる発表のなかで金相場は2,700ドル台後半へと値を上げていくこととなった。その後も、米国新大統領がFRBに利下げを迫ったとの報道などからドル安が進んでじり高の相場展開は続き、27日に中国での低コストAIの開発報道から株式市場が急落した場面では、金相場に一時換金売りが波及する場面も見られ2,700ドル台半ばへ値を下げるも、影響は長続きせず月末にかけてさらに値を上げていく展開となった。30日に発表した米実質GDP(速報値)が軟調な結果となると、さらに騰勢を強め月間最高値となる2,800ドル台へと乗せて越月した。

■円建て金相場
13,443円でスタートした1月の円建て金相場は、ドル高などを嫌気した売りに押され7日に月間最安値となる13,433円を付けたが、その後は米国による高関税政策への警戒感から安全資産としての買いが入り上昇基調を維持した。ドル建て相場は月末にかけて2,800ドルの節目を目指す展開となり、月間最高値となる13,912円で月を終えた。

プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
910ドル近辺でスタートした1月のドル建てプラチナ相場は、月初に月間最安値水準を付けたのち、金相場を中心とした他貴金属相場の上昇に追随し940ドル近辺まで上昇した。その後、米国で発表された雇用統計や物価関連指標等が軒並み底堅い内容となりドル高が進んだ場面でも、上げ足は鈍ったものの大きく値を崩すことなく堅調な相場展開を継続し、900ドル台半ばで停滞した。注目されていた新大統領就任に際して、前政権が進めてきたEV車の普及の廃止を検討する大統領令が発表され、内燃機関への回帰する動きを期待する動きが強まったほか、関税賦課の対象範囲次第によっては米国国内への資源輸送にも大きな影響が生じることを懸念し、米国へと在庫の所在を移す動きが加速化した。これにより市場の流動性が急激に低下したことで、相場の値動きが荒くなり始めると、加えて対ロシアに対しても懲罰的な制裁関税がほのめかされたことがパラジウム相場の上昇へとつながり、この動きがプラチナ相場へも波及する展開となり960ドル近辺まで上昇した。この状況は月末まで断続的に続くこととなり月間最高値となる980ドル近辺まで値を上げて越月した。

■円建てプラチナ相場
4,836円でスタートした1月の円建てプラチナ相場は、買いが先行し10日に月間最高値となる4,963円まで上昇したが、その後はドル建て相場の下落と為替が円高方向に振れたことで下げ幅を拡大し、17日には月間最安値となる4,728円を付けた。月後半は金相場の上昇が下支えとなり4,869円で月を終えた。

銀(Silver)
■ドル建て銀相場
金相場同様に月間最安値水準となる29.00ドル近辺でスタートした1月のドル建て銀相場は、金相場の上昇につれ高となり、年始早々に30.00ドル近辺まで上昇した。ただ、30ドルの節目で、米雇用統計の堅調な結果とFRBが利下げを急がないとの見方が材料視され上値が抑えられた。しかし、新大統領就任を前にした警戒感から金が買い進まれると、相対的に割安感が強まっていく形となり銀も買い進まれ20日の就任式直前には30.00ドル台後半まで値を上げていった。就任直後にカナダ・メキシコへの関税賦課が発表されると、両国への依存度が高い銀地金の米国への供給に対する不安感も増大したことで、金市場と同様に米国の中心市場である米先物市場における値動きが急速に不安定化することとなり、ドル建て銀相場の値動きも荒く不安定化していった。市場の意識が貴金属に対する関税対象範囲がどのようになるかという点へと軸足を移すなか、27日には、新大統領がアルミや銅に関税賦課を検討している旨の報道に加え、一律関税を望むとの発言が材料視されたために31.00ドルを突破した。結論の見えない不透明な情勢の中で、銀相場も月末に月間最高値となる31ドル台後半を付けて月を終わることとなった。

■円建て銀相場
153.90円でスタートした1月の円建て銀相場は、総じて金相場に追随しつつも方向感が定まらず、往来相場が続く中で14日に月間最安値となる153.70円を付けた。月末にかけては金相場が一段高となったことを好感した買いが入り、月間最高値となる160.10円で月を終えた。

■為替
JPY
年始本邦が休みの中、一時156円半ばを付ける場面も見られる荒い展開の中でスタートした1月の為替相場は、本邦の休み明け157.73円ではじまると、ドルはじり高となり一時158円に乗せた。10日の米雇用統計の堅調な結果を受けてドルは158.90円近辺まで上昇するも、すぐに下落へと転じ157円台へと押し戻された。本邦祝日で薄商いとなるなか、15日に1月の日銀会合での利上げの可能性に振れた日銀総裁発言をきっかけに円高が進み、156円台へと円高基調が進むと、FRB理事の利下げ支持の発言なども相まって、155円台へと円高が加速した。その後も20日の米国新大統領の就任を意識する状況となり、当初は米新政権の関税政策の見送り報道などから円安に振れるも、大統領がカナダ・メキシコへの関税賦課に言及すると一気に反転円高に進むなど不安定な為替の動きが続いた。また、24日の日銀金融政策決定会合では0.25%の追加利上げが発表された。イベントが一つこなされたことや、29日のFOMCを控えて相場はやや落ち着きを取り戻したが、月末にかけては米第4四半期GDPの減速や、大統領の関税発言などで不安定化する世界情勢の中で、逃避的に円が買われる場面が増えていくこととなり、154.43円で円高進行する形で越月した。


略語注釈
FOMC:米連邦公開市場委員会
FRB:米連邦準備制度理事会
GDP: 国内総生産
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