マーケット市況情報

2024年11月11日 16時00分

2024年10月の貴金属市況2024年11月11日 16時00分

価格ベース
金 プラチナ 銀 US$:市価 円建:税抜参考小売価格 為替:TTM

金(Gold)
■ドル建て金相場
前月末に中東情勢の不透明感の高まりから原油相場が上昇したことなどにつれて大きく値を上げ、2,650ドル近辺でスタートした10月のドル建て金相場は、その流れを継続する形で上昇するも、3日の米経済指標の好調な結果や4日の米9月雇用統計の市場予想を上回る結果を受けドル高が進むと、上値が抑えられ軟化する展開となった。8日に国慶節の長期連休が明けた中国市場で、中国政府が示した景気対策が市場期待値を下回ったとの見方が広がったことも投機的な購入を消極的にし、9日には月間最安値となる2,600ドル近辺まで値を下げた。10日の米9月CPIは前月を上回り物価の高止まりを示し、高金利環境の継続という金相場にはマイナスに働く結果となったが、月初から中旬までの主要経済・物価指標の発表が一巡したことで、市場の注目は11月初旬の米大統領選挙の行方と中東情勢の不透明感などへと軸足を移していくこととなった。特に中東情勢は戦時状態へと向かっている中で、金相場はドルの浮沈や金利の上下と切り離した考え方で、将来の不透明感を意識した投機的な資金の受け皿となった節もあり、先物市場やETFといった金に関連した投資商品のロングポジションが大きく残高を増やす中で18日には2,700ドルを超える水準まで上昇した。加えて国際的な会議の中で、中央銀行の外貨準備としての金購入への意欲的な姿勢などもそれらの動きを後押しすることとなり、30日には月間最高値並びに更なる大台超えを意識する水準となる2,785ドル近辺まで上昇した。ただ、月を通して総じて上昇基調が続いていた状況で、翌週に大統領選などを控える月末には、直近の上昇に対する利益確定の売りも見られて2,730ドル近辺へと値を落として越月した。

■円建て金相場
月間最安値となる12,246円でスタートした10月の円建て金相場は、中東情勢の緊迫化や米大統領選をめぐる不透明感を背景にドル建て相場が騰勢を強める中、為替が円安方向に振れたことで円建て相場も一段高となり、連日過去最高値を更新する展開となった。買いが買いを呼ぶ様相で月末に至るまで上昇トレンドを維持し、月間最高値となる13,784円で月を終えた。


プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
980ドル近辺でスタートした10月のドル建てプラチナ相場は、中東情勢の先行きを警戒した金相場の上昇に追随し1,000ドル台に乗せ1,010ドル近辺まで値を伸した。本年に入りおよそ3度目となる1,000ドル台へのトライであったが、そのたびに戻されている。この水準ではリサイクル等の売りも膨らむ傾向が強まり、また9月の米雇用統計が市場予想を上回ったことによるドル高などから下落へと転じた。9日には中国が示した景気対策も市場期待を超えず国慶節明けの需要も不振との印象が強まると下げ幅を拡大し、月間最安値となる950ドル近辺へと値を崩す場面も見られた。ただ、このレベルでは売り手の動きも一巡したほか、安値拾いの買いも見られ下支えされると、その後は騰勢を強める金相場に足並みを揃えて上昇していく形となり、16日には再び1,000ドル台へ乗せ大台定着への挑戦をする展開となった。前述の通りこの水準を待っていた手持ち筋も相当数いたとみられ、徐々に上値が重くなりつつあったが、24日に米国がG7諸外国に対して対ロシア追加制裁として貴金属なども加えるように促したとの報道が流れパラジウム相場が急騰すると、プラチナ相場も一段高となり月間最高値水準となる1,050ドル近辺へと上昇した。しかし、米大統領選を翌月に控える中で目先の利益確定の動きが強まると、月末にかけて急速に下げ幅を拡大し1,000ドルを割り込み越月した。

■円建てプラチナ相場
月間最安値となる4,605円でスタートした10月の円建てプラチナ相場は、金相場の上昇を好感した買いが入りドル建て相場が1,000ドル超の水準で推移し、為替が円安基調となったことから23日には5,000円の節目を上回った。その後も上げ幅を拡大し30日には月間最高値となる5,238円を付けたが、月末は利益確定の売りに押され5,030円で月を終えた。


銀(Silver)
■ドル建て銀相場
10月のドル建て銀相場は月の前半と後半で雰囲気を異にする展開がみられた。31.35ドル近辺でスタートすると月初こそ中東情勢の緊迫化などから金相場が上昇する場面で32ドル台へと乗せる場面も見られたが、中華圏が国慶節で長期休暇となる中で、その前後に発表された景気刺激策に対する厳しい評価から、産業用需要の面で上値は抑えられる展開となった。10日には月間最安値となる30.67ドル近辺まで値を下げ、おりしもその前後で発表された10月の米経済指標は雇用統計や米CPIなども好調な結果が続き、前月末に示された利下げを急がないFRBの姿勢を追認しやすい内容が続いたことも、ドルの上昇などの背景から上値を抑える状況を生みやすかったと思われる。金相場は前述の前後状況をまるで度外視するかのように騰勢を強めたことで、金相場に比しての銀相場の出遅れ感へと投機家の意識が向くと、23日ごろには月間最高値となる34.51ドル近辺へと値を上げる展開となった。ただ、あまりに急激な上げの動きに対する警戒感もそれなりに強く、その後は上値が重くなると34ドルを挟んでもみ合う展開が見られ、また月末には金相場も利益確定の売りに押されてやや上げ幅を打ち消した動きとなったことから、銀相場は33.59ドル近辺へと値を落として越月した。

■円建て銀相場
月間最安値となる147.90円でスタートした10月の円建て銀相場は、金相場の上昇に対する出遅れ感から同月後半にドル建て相場が急伸したほか、円安進行もあいまって23日には171.30円まで上昇した。その後、ドル建て相場は上値の重い展開となったが、円安基調が続いたことで上値を伸ばし、30日には月間最高値となる172.60円に上昇した。月末はやや軟化し169.10円で月を終えた。


■為替
10月のドル円相場は144.08円でスタートし、1日の本邦金融政策決定会合で金利の据え置きが決定され、追加利上げに対して慎重な姿勢を示されたことで円安基調となると、4日に発表された9月米雇用統計が市場予想を上回ったことで労働市場の底堅さが材料視され、149.00円近辺まで円安が進んだ。月中旬も10日に発表された米CPIが高止まりを見せたことや、17日の米9月小売売上高も市場予想を上回ったことで、150円の大台を挟んだ値動きが展開されることとなった。その後も月末にかけて翌月に控える米大統領選挙において共和党候補が優勢との報道が流れると、大きく円安方向に抜けることとなり月末にかけて円安基調が強まっていった。27日には本邦衆議院選挙が行われ、その結果を受けた政局不安を背景に円売りが加速した。ただ、月末の日銀金融政策決定会合では政策金利据え置きが決定され、その後の日銀総裁の会見後に小幅に円買いも出て153.65円近辺で越月した。


略語注釈
ETF:上場投資信託
CPI:消費者物価指数
FRB:米連邦準備制度理事会
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