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マーケット市況情報
2024年10月08日 17時00分
2024年9月の貴金属市況2024年10月08日 17時00分
価格ベース
金 プラチナ 銀 US$:市価 円建:税抜参考小売価格 為替:TTM
金(Gold)
■ドル建て金相場
9月のドル建て金相場は2,500ドル近辺でスタートすると、中東情勢の停戦協議等で緊張が和らぐ場面も見られたことで、米国市場休場の中2,500ドルを割り込むと、米株安を受けた損失補填の売りなど散見され、4日には月間最安値圏となる2,475ドル近辺まで下落した。この状況下で月初に相次いで発表された米雇用関連指標は軒並み市場予想を下回る結果となり、9月の大幅利下げへの期待感が強まったことで、ドル安が進行。金相場の下値は支えられ2,500ドルを持ち直した。11日には米大統領選討論会でハリス氏優勢が報じられたほか、16日に発表された米8月のCPIが市場予想を上回ると、米長期金利の利回りが下げ止まり、これに合わせてドルも切り返す動きを見せた。しかし、月初にやや緩和が見られた中東情勢はイスラエルによる攻撃の継続などから、結果的には悪化へ向かい、地政学的リスクの高まりとドル高の中で金相場は前者を意識した買いが先行する展開となり2,500ドル台前半へと上昇した。中旬を過ぎると市場の意識は18日のFOMCでの大幅利下げへ関心が高まり、再びドル安に市場が傾くにつれて金相場は堅調な相場展開を形成した。0.5%の利上げが実施された18日には2,575ドル近辺へと値を上げる結果となった。他方、前述のとおり緊迫化の進む中東情勢はレバノンでのポケベル通信機器の爆発や報復の応酬へと発展し始め、20日にはイスラエルによる幹部殺害等へとエスカレートが見え始めたことで、2,600ドルに乗せる結果となった。24日には中国人民銀行は金利引き下げ等を始めとする各種金融緩和策を発表し、かなり多項目に及ぶ経済成長維持に向けた本腰の内容であったことから、金相場にも同国需要が波及するとの期待感も強まり、2,600ドル台半ばまで上昇すると26日には月間最高値水準となる2,675ドル近辺まで上昇した。月末にはFRB議長の利下げに対する慎重な姿勢が示された事で、利益確定売りも見られ2,620ドル近辺で越月した。
■円建て金相場
11,830円でスタートした9月の円建て金相場は、米株安を背景とした損失補填の売りに押されドル建て相場が下落したことや、為替が円高基調となったことから9日には月間最安値となる11,507円を付けた。その後は米利下げ期待を背景に買い戻しの動きが優勢となり、17日から18日に開催されたFOMC後は米利下げサイクル入りを好感して2,600ドルを突破した。同月下旬にかけて円安が加速したことを受けて27日には月間最高値となる12,501円に上昇するも、月末は上値を抑えられ12,272円で月を終えた。
プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
930ドル近辺でスタートした9月のドル建てプラチナ相場は、金相場軟調などの動きを意識した売りなどから4日には月間最安値水準となる900ドル近辺まで下落した。しかし、米雇用情勢が弱含む数字が意識される中で、市場は18日のFOMCでの利下げ幅を0.25%から0.50%まで拡大されるとの考え方に変わり、結果長期金利は低下。これに伴うドル安の動きがプラチナ相場を支え、反発へと転じていく事となった。加えて11日にプーチン大統領が欧米等の西側諸国が敷く経済制裁への報復からウラン、チタン、ニッケル、その他資源についても輸出制限を検討している旨の報道が流れると、ロシア生産量が無視できないPGMは騰勢を強める結果となり、FOMCが実施された18日には1,000ドル目前まで上昇することとなった。市場予想通りFOMCで0.5%の大幅利下げが実施されると、プラチナ相場は底堅い動きを続けたが、節目となる1,000ドルが意識されて上値が抑えられる展開となった。しかし、この上値は24日に発表された中国人民銀行は金利の引き下げ等をはじめとする各種金融緩和策を発表したことで、需要促進への思惑が強まりプラチナ相場は1,000ドルの節目を抜けて一時1,015ドル近辺へと上昇した。月末には米利下げのペースに対する警戒感からの売りも見られて985ドル近辺に値を落として越月した。
■円建てプラチナ相場
4,456円でスタートした9月の円建てプラチナ相場は、ドル建て相場が900ドル近辺まで軟化したほか、円高を受けて5日には月間最安値となる4,300円へと下落した。売り一巡後は米利下げ期待や金相場の上昇を眺めて買い戻しの動きが広がり4,600円近辺まで上昇した。その後もドル建て相場が1,000ドル超の水準で推移し、さらに為替が円安に振れたことから27日には月間最高値となる4,761円を付けた。月末は利益確定の売りが優勢となり4,671円に下落して月を終えた。
銀(Silver)
■ドル建て銀相場
28ドル半ばでスタートした9月のドル建て銀相場は、米雇用指標の悪化などから景気の先行き不透明感を意識した売りが見られて月間最安値となる28.00ドル目前まで下落した。しかし、金相場が中東情勢の緊迫化や18日のFOMCを意識して騰勢を強めていくにつれて、銀相場も緩やかに値を上げた。FOMCでは市場予想通り、0.5%の大幅利下げが実施され、さらに中東情勢を中心とした地政学的リスクの高まりを受けて金相場が上昇のピッチを強め銀相場も16日には30ドル台に乗せ、その後も32ドルの節目を意識する水準まで上昇した。24日の中国人民銀行の経済へのてこ入れを意識した金融緩和策が発表されると、世界景気の下支えに対する期待感から月間最高値となる一時32.50ドル近辺へと値を上げた。この水準を継続するには独自の手がかりに欠ける中で投機筋の利益確定売りが月末にかけて散見され31.00ドル近辺で越月した。
■円建て銀相場
139.40円でスタートした9月の円建て銀相場は、ドル建て相場が軟調地合いとなる中、円高進行も相まって9日には月間最安値となる132.10円に下落した。その後、金相場の上昇を好感してドル建て相場が持ち直したほか、為替が円安方向に進んだことで値を伸ばし、27日には月間最高値となる152.30円まで上昇したが、月末はやや軟化し149.00円で月を終えた。
■為替
9月のドル円相場は146.23円でスタートすると、長期金利の上昇を受けて3日に月間最高値となる147.18円まで円安が進んだ。その後、同日発表された米8月ISM製造業景気指数や4日の米7月JOLTS求人件数の市場予想を下回る結果を受け、ドル売り円高に転じると、5日に発表された米8月ADP雇用統計も軟調な結果となり142円台まで下落した。6日の米8月雇用統計は強弱入り混じる結果となり乱高下もみられた。11日に行われた米大統領選討論会ではハリス氏優勢との見方が拡がる中、日銀高官の利上げに関する発言も伝わると円相場は一段と円高が進んだ。米8月のCPIは市場予想を上回り米金利上昇となったことを背景に一時142円台半ばまで円安となる場面みられたが、FOMCでの大幅利下げ期待の高まりからドル安円高の流れに再び押されることとなり、17日には月間最安値となる140.78円まで円高が進んだ。18日のFOMCで0.5%の利下げ発表直後は米金利低下と共に140円台半ばに急落も、利下げペースに関するパウエルFRB議長の慎重な姿勢を受けてすぐに切り返し142円台後半まで反発。20日には日銀が現行政策維持を決定し追加利上げを急がない旨の発言をしたことで、円安方向の圧力が強まり143円台半ばまで値を戻した。26日に自民党総裁選での高市氏の勝利を織り込む動きも受け円安基調が加速すると、27日の総裁選では1回目の投票において高市氏の優勢が伝わると一時146円半ばまで上昇した。しかし、決戦投票では石破氏が勝利すると、ポジションの巻き戻しが入り142円前半まで下落する荒い値動きが見られ142.73円にて越月した。
略語注釈
CPI:消費者物価指数
FOMC:米連邦公開市場委員会
FRB:米連邦準備制度理事会
PGM:白金族
ISM:全米供給管理協会
ADP:オートマティック・データ・プロセッシング社
JOLTS:雇用動態調査
金 プラチナ 銀 US$:市価 円建:税抜参考小売価格 為替:TTM
金(Gold)
■ドル建て金相場
9月のドル建て金相場は2,500ドル近辺でスタートすると、中東情勢の停戦協議等で緊張が和らぐ場面も見られたことで、米国市場休場の中2,500ドルを割り込むと、米株安を受けた損失補填の売りなど散見され、4日には月間最安値圏となる2,475ドル近辺まで下落した。この状況下で月初に相次いで発表された米雇用関連指標は軒並み市場予想を下回る結果となり、9月の大幅利下げへの期待感が強まったことで、ドル安が進行。金相場の下値は支えられ2,500ドルを持ち直した。11日には米大統領選討論会でハリス氏優勢が報じられたほか、16日に発表された米8月のCPIが市場予想を上回ると、米長期金利の利回りが下げ止まり、これに合わせてドルも切り返す動きを見せた。しかし、月初にやや緩和が見られた中東情勢はイスラエルによる攻撃の継続などから、結果的には悪化へ向かい、地政学的リスクの高まりとドル高の中で金相場は前者を意識した買いが先行する展開となり2,500ドル台前半へと上昇した。中旬を過ぎると市場の意識は18日のFOMCでの大幅利下げへ関心が高まり、再びドル安に市場が傾くにつれて金相場は堅調な相場展開を形成した。0.5%の利上げが実施された18日には2,575ドル近辺へと値を上げる結果となった。他方、前述のとおり緊迫化の進む中東情勢はレバノンでのポケベル通信機器の爆発や報復の応酬へと発展し始め、20日にはイスラエルによる幹部殺害等へとエスカレートが見え始めたことで、2,600ドルに乗せる結果となった。24日には中国人民銀行は金利引き下げ等を始めとする各種金融緩和策を発表し、かなり多項目に及ぶ経済成長維持に向けた本腰の内容であったことから、金相場にも同国需要が波及するとの期待感も強まり、2,600ドル台半ばまで上昇すると26日には月間最高値水準となる2,675ドル近辺まで上昇した。月末にはFRB議長の利下げに対する慎重な姿勢が示された事で、利益確定売りも見られ2,620ドル近辺で越月した。
■円建て金相場
11,830円でスタートした9月の円建て金相場は、米株安を背景とした損失補填の売りに押されドル建て相場が下落したことや、為替が円高基調となったことから9日には月間最安値となる11,507円を付けた。その後は米利下げ期待を背景に買い戻しの動きが優勢となり、17日から18日に開催されたFOMC後は米利下げサイクル入りを好感して2,600ドルを突破した。同月下旬にかけて円安が加速したことを受けて27日には月間最高値となる12,501円に上昇するも、月末は上値を抑えられ12,272円で月を終えた。
プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
930ドル近辺でスタートした9月のドル建てプラチナ相場は、金相場軟調などの動きを意識した売りなどから4日には月間最安値水準となる900ドル近辺まで下落した。しかし、米雇用情勢が弱含む数字が意識される中で、市場は18日のFOMCでの利下げ幅を0.25%から0.50%まで拡大されるとの考え方に変わり、結果長期金利は低下。これに伴うドル安の動きがプラチナ相場を支え、反発へと転じていく事となった。加えて11日にプーチン大統領が欧米等の西側諸国が敷く経済制裁への報復からウラン、チタン、ニッケル、その他資源についても輸出制限を検討している旨の報道が流れると、ロシア生産量が無視できないPGMは騰勢を強める結果となり、FOMCが実施された18日には1,000ドル目前まで上昇することとなった。市場予想通りFOMCで0.5%の大幅利下げが実施されると、プラチナ相場は底堅い動きを続けたが、節目となる1,000ドルが意識されて上値が抑えられる展開となった。しかし、この上値は24日に発表された中国人民銀行は金利の引き下げ等をはじめとする各種金融緩和策を発表したことで、需要促進への思惑が強まりプラチナ相場は1,000ドルの節目を抜けて一時1,015ドル近辺へと上昇した。月末には米利下げのペースに対する警戒感からの売りも見られて985ドル近辺に値を落として越月した。
■円建てプラチナ相場
4,456円でスタートした9月の円建てプラチナ相場は、ドル建て相場が900ドル近辺まで軟化したほか、円高を受けて5日には月間最安値となる4,300円へと下落した。売り一巡後は米利下げ期待や金相場の上昇を眺めて買い戻しの動きが広がり4,600円近辺まで上昇した。その後もドル建て相場が1,000ドル超の水準で推移し、さらに為替が円安に振れたことから27日には月間最高値となる4,761円を付けた。月末は利益確定の売りが優勢となり4,671円に下落して月を終えた。
銀(Silver)
■ドル建て銀相場
28ドル半ばでスタートした9月のドル建て銀相場は、米雇用指標の悪化などから景気の先行き不透明感を意識した売りが見られて月間最安値となる28.00ドル目前まで下落した。しかし、金相場が中東情勢の緊迫化や18日のFOMCを意識して騰勢を強めていくにつれて、銀相場も緩やかに値を上げた。FOMCでは市場予想通り、0.5%の大幅利下げが実施され、さらに中東情勢を中心とした地政学的リスクの高まりを受けて金相場が上昇のピッチを強め銀相場も16日には30ドル台に乗せ、その後も32ドルの節目を意識する水準まで上昇した。24日の中国人民銀行の経済へのてこ入れを意識した金融緩和策が発表されると、世界景気の下支えに対する期待感から月間最高値となる一時32.50ドル近辺へと値を上げた。この水準を継続するには独自の手がかりに欠ける中で投機筋の利益確定売りが月末にかけて散見され31.00ドル近辺で越月した。
■円建て銀相場
139.40円でスタートした9月の円建て銀相場は、ドル建て相場が軟調地合いとなる中、円高進行も相まって9日には月間最安値となる132.10円に下落した。その後、金相場の上昇を好感してドル建て相場が持ち直したほか、為替が円安方向に進んだことで値を伸ばし、27日には月間最高値となる152.30円まで上昇したが、月末はやや軟化し149.00円で月を終えた。
■為替
9月のドル円相場は146.23円でスタートすると、長期金利の上昇を受けて3日に月間最高値となる147.18円まで円安が進んだ。その後、同日発表された米8月ISM製造業景気指数や4日の米7月JOLTS求人件数の市場予想を下回る結果を受け、ドル売り円高に転じると、5日に発表された米8月ADP雇用統計も軟調な結果となり142円台まで下落した。6日の米8月雇用統計は強弱入り混じる結果となり乱高下もみられた。11日に行われた米大統領選討論会ではハリス氏優勢との見方が拡がる中、日銀高官の利上げに関する発言も伝わると円相場は一段と円高が進んだ。米8月のCPIは市場予想を上回り米金利上昇となったことを背景に一時142円台半ばまで円安となる場面みられたが、FOMCでの大幅利下げ期待の高まりからドル安円高の流れに再び押されることとなり、17日には月間最安値となる140.78円まで円高が進んだ。18日のFOMCで0.5%の利下げ発表直後は米金利低下と共に140円台半ばに急落も、利下げペースに関するパウエルFRB議長の慎重な姿勢を受けてすぐに切り返し142円台後半まで反発。20日には日銀が現行政策維持を決定し追加利上げを急がない旨の発言をしたことで、円安方向の圧力が強まり143円台半ばまで値を戻した。26日に自民党総裁選での高市氏の勝利を織り込む動きも受け円安基調が加速すると、27日の総裁選では1回目の投票において高市氏の優勢が伝わると一時146円半ばまで上昇した。しかし、決戦投票では石破氏が勝利すると、ポジションの巻き戻しが入り142円前半まで下落する荒い値動きが見られ142.73円にて越月した。
略語注釈
CPI:消費者物価指数
FOMC:米連邦公開市場委員会
FRB:米連邦準備制度理事会
PGM:白金族
ISM:全米供給管理協会
ADP:オートマティック・データ・プロセッシング社
JOLTS:雇用動態調査