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マーケット市況情報
2024年09月05日 16時00分
2024年8月の貴金属市況2024年09月05日 16時00分
価格ベース
金 プラチナ 銀 US$:市価 円建:税抜参考小売価格 為替:TTM
金(Gold)
■ドル建て金相場
8月のドル建て金相場は、2,430ドル近辺で始まると前月末のFOMCが9月の利下げをほぼ織り込む内容であったことから、4%を割り込む水準へと米長期金利が低下した。この動きから金相場は2,470ドル近辺へと上昇する展開となった。2日の米雇用統計は非農業部門就業者数が市場予想の17.5万人増に対して11.4万人増となり、失業率も4.1%に対して4.3%と上昇した。米労働市場の減速を確認してスタートした5日の本邦株式市場は、過去最大となる大暴落を記録した。金相場は当初安値拾いの買いもみられたものの、下げ幅をみるみる拡大していく株式市場の動きを見て、証拠金確保や損失補填とみられる売りが波及し、2,400ドルを割り込む水準まで急落する展開となり、一時2,365ドル近辺まで下落する場面が見られた。この下落は欧米時間にも波及したものの、本邦株式市場の下落幅までは至らなかったことで、翌日以降、混乱は残るものの市場は平静を取り戻していき、2,400ドルを挟みもみ合う展開となった。本邦を起点に株式市場が大荒れを見せたこれらの状況下でイスラエルとパレスチナをめぐる中東情勢は緊迫度を増していき、経済的な混乱の裏側で中東情勢を懸念した買いが相場を下支えすることとなり、9日には2,400ドル近辺のもみ合いから上方向へ跳ね上がる展開となった。その後13日に発表された米7月PPIは市場予想を下回り、金相場は2,470ドル近辺へと上昇することとなった。15日に発表された米7月小売売上高が市場予想を上回る伸びを見せると、ドル高となり金相場も下押す場面も見られたが、その後はFRB高官の発言などを背景に9月の米利下げを織り込む動きが加速し、2,500ドル台へ上昇した。21日には7月のFOMC議事要旨が発表され利下げに前向きな姿勢が確認されると、月間最高値となる2,530ドル近辺まで上昇する場面も見られた。22日の米PMIが底堅い内容となったことで2,475ドル近辺まで売り込まれる場面も見られたが、すぐに切り返し月末にかけては2,500ドルを下値として意識しながら2,500~2,525ドルの往来相場を形成する形となり、2,505ドル近辺で越月した。
■円建て金相場
11,814円でスタートした8月の円建て金相場は、日銀の追加利上げを受けた日本株暴落や、雇用情勢の悪化等による米景気減速懸念を背景に世界的な株安の連鎖が生じ、損失補填の売りが膨らんだほか、円高進行も相俟って7日には月間最安値となる11,173円を付けた。売り一巡後は米利下げ期待を背景に買い戻しの動きが広がり、19日には月間最高値となる11,965円を付けた。その後は利益確定の売りに押され26日には11,670円まで下落したものの、月末は為替市場で円高が一服したことにより値を戻し11,781円で月を終えた。
プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
970ドル近辺でスタートした8月のドル建てプラチナ相場は、日銀による利上げに伴う株式市場の軟調地合いの中で下値を模索する展開となると、2日の米雇用統計が市場予想を下回る結果となったことで米経済環境の減速に対する警戒感が優勢となり下げ幅を拡大することとなった。5日には本邦株式が史上最大の下げ幅を見せ、この中でプラチナ相場も投機筋の売りが急速に強まると、一時月間最安値となる900ドル目前まで下落した。このレベルでは値ごろ感からの買いも見られ、本邦を含め各国株式市場が反発に転じ落ち着きを取り戻すにつれて月初の水準を目指して値を戻していく展開となった。この間、米国の物価指標では9月の利下げを期待させる弱い結果が続き総じてドル売りが優勢となっていったことも、相場の回復を後押した感があった。その後15日に発表された米7月の小売売上高は市場予想を上回る好調な結果となり、利下げが期待される環境のなかで経済的な減速も律速されているとの見方が好感されて970ドル近辺の水準を回復することとなった。ただ、月初水準を回復したことで戻り相場に対して達成感が出始めたことや、金相場も2,500ドルの節目を超えて以降は上昇の流れが一服したことなども投機筋の買い意欲を次第に削いでいくこととなり、22日以降は売り買いが交錯する中で値動きの大きい往来相場を形成する形となった。不安定な相場の中で27日には月間最高値となる980ドル近辺を見る場面もあったが、月末にかけては米国大手半導体決算発表を控えてポジション調整から売りが先行していく流れとなっていき、930ドル近辺で月を終えた。
■円建てプラチナ相場
月間最高値となる4,792円でスタートした8月の円建てプラチナ相場は、日銀の追加利上げや米雇用統計の悪化等を背景とした世界的な株安で商品市場全般にも売りが波及し7日には月間最安値となる4,385円を付けた。その後は米利下げ期待や金相場の上昇を眺めて買い戻しの動きが広がり、16日には4,661円まで反発した。月後半は米景気減速懸念から上値の重い展開が続き、月末にかけて円高は一服したもののドル建て相場の下げ幅が大きく、4,463円で月を終えた。
銀(Silver)
■ドル建て銀相場
29.00ドル近辺でスタートした8月のドル建て銀相場は、本邦株式市場の暴落を見た5日には他の貴金属と併せて26ドル台まで下落した。その後株式市場は反発に転じることとなったが、前月から続く軟調な地合いも手伝う形で銀相場は持ち直しにやや時間がかかり、8日には一時月間最安値水準となる26.40ドル近辺まで下落する場面が見られた。しかし、中東情勢の不透明感が強まっていることや、米利下げ期待感が強まるにつれて金相場が反発に転じていくと、出遅れ感を意識した投機筋の買いも入り始め27ドル台へと反発した。その後は市場予想を上回った米小売売上高などの結果などが、需要の底堅さへの期待へと転じ、上昇基調を強めていくこととなった。20日には月初の水準であった29ドルを上抜けると、前月から続く下落基調の中で売っていたとみられる投機筋の損失確定の買いや、月末に控える米半導体大手の決算発表前にポジション調整する投機家の動きなども巻き込んで上げ幅を拡大し、27日には一時30.00ドル近辺へと値を上昇する展開となった。同決算は良好な内容であったものの、期待を超える好調とは受け止められなかったことで株式市場が下落すると、30ドル目前まで上昇していただけに銀相場にも売りが見られることとなり29.00ドル近辺へと値を戻しての越月となった。
■円建て銀相場
月間最高値となる143.30円でスタートした8月の円建て銀相場は、金相場と同様に株価の急落が世界的に連鎖する中で急落し、8日には月間最安値となる128.40円を付けた。その後は米利下げ観測や金相場の上昇を眺めて買い優勢の展開が続き、28日には142.60円まで値を戻したが、月末にかけてはドル建て相場が軟調地合いとなったことから140.30円で月を終えた。
■為替
7月末に利上げが実施された流れの中でスタートした8月の円相場は149.68円でスタートすると、米株式の軟調な地合いにつれる形で円高基調での展開となった。2日の米雇用統計は市場予想を下回る結果となったことで、円高は146円半ばへ進んだ。この雇用統計の結果を受けて始まった5日の本邦株式市場は史上最大の下げ幅を見せ、これを受けて円相場は月間最安値となる143.39円まで円高進行することとなった。6日には反発する株式市場の動きに合わせてドルは値を戻す動きを見せ、7日の日銀副総裁の利上げに慎重な発言などから147円台まで反転上昇した。その後は13日の米7月PPIが市場予想を下回ったことで、米利下げ期待の強まりから円高方向へと振れる場面も見られたが、15日の米小売売上高は一転して好調な結果となったことで、ドル高へと振れ直す展開となり一時149.13円まで円安が進んだ。その後はカナダ企業による本邦企業への買収提案報道がきっかけとなり円高へと振れ始め、145円半ばへと円高が進むと、22日のジャクソンホール経済政策シンポジウムとFRB議長の発言などを控えて様子見ムードが広がった。23日に伝わった議長の発言では9月の利下げを強く意識する内容であったことからドル売りが強まり、月初来安値に近い水準まで円安が進む場面が見られ、その後月末にかけても144円台での推移が続き144.89円で越月した。
略語注釈
FOMC:米連邦公開市場委員会
PPI:生産者物価指数
FRB:米連邦準備制度理事会
PMI:購買担当者景気指数
金 プラチナ 銀 US$:市価 円建:税抜参考小売価格 為替:TTM
金(Gold)
■ドル建て金相場
8月のドル建て金相場は、2,430ドル近辺で始まると前月末のFOMCが9月の利下げをほぼ織り込む内容であったことから、4%を割り込む水準へと米長期金利が低下した。この動きから金相場は2,470ドル近辺へと上昇する展開となった。2日の米雇用統計は非農業部門就業者数が市場予想の17.5万人増に対して11.4万人増となり、失業率も4.1%に対して4.3%と上昇した。米労働市場の減速を確認してスタートした5日の本邦株式市場は、過去最大となる大暴落を記録した。金相場は当初安値拾いの買いもみられたものの、下げ幅をみるみる拡大していく株式市場の動きを見て、証拠金確保や損失補填とみられる売りが波及し、2,400ドルを割り込む水準まで急落する展開となり、一時2,365ドル近辺まで下落する場面が見られた。この下落は欧米時間にも波及したものの、本邦株式市場の下落幅までは至らなかったことで、翌日以降、混乱は残るものの市場は平静を取り戻していき、2,400ドルを挟みもみ合う展開となった。本邦を起点に株式市場が大荒れを見せたこれらの状況下でイスラエルとパレスチナをめぐる中東情勢は緊迫度を増していき、経済的な混乱の裏側で中東情勢を懸念した買いが相場を下支えすることとなり、9日には2,400ドル近辺のもみ合いから上方向へ跳ね上がる展開となった。その後13日に発表された米7月PPIは市場予想を下回り、金相場は2,470ドル近辺へと上昇することとなった。15日に発表された米7月小売売上高が市場予想を上回る伸びを見せると、ドル高となり金相場も下押す場面も見られたが、その後はFRB高官の発言などを背景に9月の米利下げを織り込む動きが加速し、2,500ドル台へ上昇した。21日には7月のFOMC議事要旨が発表され利下げに前向きな姿勢が確認されると、月間最高値となる2,530ドル近辺まで上昇する場面も見られた。22日の米PMIが底堅い内容となったことで2,475ドル近辺まで売り込まれる場面も見られたが、すぐに切り返し月末にかけては2,500ドルを下値として意識しながら2,500~2,525ドルの往来相場を形成する形となり、2,505ドル近辺で越月した。
■円建て金相場
11,814円でスタートした8月の円建て金相場は、日銀の追加利上げを受けた日本株暴落や、雇用情勢の悪化等による米景気減速懸念を背景に世界的な株安の連鎖が生じ、損失補填の売りが膨らんだほか、円高進行も相俟って7日には月間最安値となる11,173円を付けた。売り一巡後は米利下げ期待を背景に買い戻しの動きが広がり、19日には月間最高値となる11,965円を付けた。その後は利益確定の売りに押され26日には11,670円まで下落したものの、月末は為替市場で円高が一服したことにより値を戻し11,781円で月を終えた。
プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
970ドル近辺でスタートした8月のドル建てプラチナ相場は、日銀による利上げに伴う株式市場の軟調地合いの中で下値を模索する展開となると、2日の米雇用統計が市場予想を下回る結果となったことで米経済環境の減速に対する警戒感が優勢となり下げ幅を拡大することとなった。5日には本邦株式が史上最大の下げ幅を見せ、この中でプラチナ相場も投機筋の売りが急速に強まると、一時月間最安値となる900ドル目前まで下落した。このレベルでは値ごろ感からの買いも見られ、本邦を含め各国株式市場が反発に転じ落ち着きを取り戻すにつれて月初の水準を目指して値を戻していく展開となった。この間、米国の物価指標では9月の利下げを期待させる弱い結果が続き総じてドル売りが優勢となっていったことも、相場の回復を後押した感があった。その後15日に発表された米7月の小売売上高は市場予想を上回る好調な結果となり、利下げが期待される環境のなかで経済的な減速も律速されているとの見方が好感されて970ドル近辺の水準を回復することとなった。ただ、月初水準を回復したことで戻り相場に対して達成感が出始めたことや、金相場も2,500ドルの節目を超えて以降は上昇の流れが一服したことなども投機筋の買い意欲を次第に削いでいくこととなり、22日以降は売り買いが交錯する中で値動きの大きい往来相場を形成する形となった。不安定な相場の中で27日には月間最高値となる980ドル近辺を見る場面もあったが、月末にかけては米国大手半導体決算発表を控えてポジション調整から売りが先行していく流れとなっていき、930ドル近辺で月を終えた。
■円建てプラチナ相場
月間最高値となる4,792円でスタートした8月の円建てプラチナ相場は、日銀の追加利上げや米雇用統計の悪化等を背景とした世界的な株安で商品市場全般にも売りが波及し7日には月間最安値となる4,385円を付けた。その後は米利下げ期待や金相場の上昇を眺めて買い戻しの動きが広がり、16日には4,661円まで反発した。月後半は米景気減速懸念から上値の重い展開が続き、月末にかけて円高は一服したもののドル建て相場の下げ幅が大きく、4,463円で月を終えた。
銀(Silver)
■ドル建て銀相場
29.00ドル近辺でスタートした8月のドル建て銀相場は、本邦株式市場の暴落を見た5日には他の貴金属と併せて26ドル台まで下落した。その後株式市場は反発に転じることとなったが、前月から続く軟調な地合いも手伝う形で銀相場は持ち直しにやや時間がかかり、8日には一時月間最安値水準となる26.40ドル近辺まで下落する場面が見られた。しかし、中東情勢の不透明感が強まっていることや、米利下げ期待感が強まるにつれて金相場が反発に転じていくと、出遅れ感を意識した投機筋の買いも入り始め27ドル台へと反発した。その後は市場予想を上回った米小売売上高などの結果などが、需要の底堅さへの期待へと転じ、上昇基調を強めていくこととなった。20日には月初の水準であった29ドルを上抜けると、前月から続く下落基調の中で売っていたとみられる投機筋の損失確定の買いや、月末に控える米半導体大手の決算発表前にポジション調整する投機家の動きなども巻き込んで上げ幅を拡大し、27日には一時30.00ドル近辺へと値を上昇する展開となった。同決算は良好な内容であったものの、期待を超える好調とは受け止められなかったことで株式市場が下落すると、30ドル目前まで上昇していただけに銀相場にも売りが見られることとなり29.00ドル近辺へと値を戻しての越月となった。
■円建て銀相場
月間最高値となる143.30円でスタートした8月の円建て銀相場は、金相場と同様に株価の急落が世界的に連鎖する中で急落し、8日には月間最安値となる128.40円を付けた。その後は米利下げ観測や金相場の上昇を眺めて買い優勢の展開が続き、28日には142.60円まで値を戻したが、月末にかけてはドル建て相場が軟調地合いとなったことから140.30円で月を終えた。
■為替
7月末に利上げが実施された流れの中でスタートした8月の円相場は149.68円でスタートすると、米株式の軟調な地合いにつれる形で円高基調での展開となった。2日の米雇用統計は市場予想を下回る結果となったことで、円高は146円半ばへ進んだ。この雇用統計の結果を受けて始まった5日の本邦株式市場は史上最大の下げ幅を見せ、これを受けて円相場は月間最安値となる143.39円まで円高進行することとなった。6日には反発する株式市場の動きに合わせてドルは値を戻す動きを見せ、7日の日銀副総裁の利上げに慎重な発言などから147円台まで反転上昇した。その後は13日の米7月PPIが市場予想を下回ったことで、米利下げ期待の強まりから円高方向へと振れる場面も見られたが、15日の米小売売上高は一転して好調な結果となったことで、ドル高へと振れ直す展開となり一時149.13円まで円安が進んだ。その後はカナダ企業による本邦企業への買収提案報道がきっかけとなり円高へと振れ始め、145円半ばへと円高が進むと、22日のジャクソンホール経済政策シンポジウムとFRB議長の発言などを控えて様子見ムードが広がった。23日に伝わった議長の発言では9月の利下げを強く意識する内容であったことからドル売りが強まり、月初来安値に近い水準まで円安が進む場面が見られ、その後月末にかけても144円台での推移が続き144.89円で越月した。
略語注釈
FOMC:米連邦公開市場委員会
PPI:生産者物価指数
FRB:米連邦準備制度理事会
PMI:購買担当者景気指数