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マーケット市況情報
2024年08月05日 18時00分
2024年7月の貴金属市況2024年08月05日 18時00分
価格ベース
金 プラチナ 銀 US$:市価 円建:税抜参考小売価格 為替:TTM
金(Gold)
■ドル建て金相場
7月のドル建て金相場は、月間最安値となる2,325ドル近辺で始まると、1日のISM製造業景況指数、3日のISM非製造業景況指数が共に市場予想を下回り、2日にはパウエルFRB議長の物価の鈍化が再開したとの見方の発言が伝わったことで、9月の利下げに対する思惑に起因したドル安を背景として、早々に2,300ドル台半ばから後半へと値を切り上げた。その後の5日に発表された米雇用統計も強弱感が入り混じる結果となり、上昇の流れを崩すものにはならなかった。8日に中国中央銀行による外貨準備の金購入が5月に続き6月もゼロであったとの事が報じられると、価格の押し上げ要因の減少という意識が成され2,360ドル近辺へと小幅に下押す場面も見られた。しかし、11日に発表された米6月消費者物価指数の前年同月比の数値が市場予想に対して下振れすると、インフレ鈍化を好感する形でドル安が進行した。金相場はこの動きを囃して2,400ドル台へと上昇した。13日の土曜日には米大統領選候補であるトランプ前大統領の暗殺未遂が報じられ、トランプ大統領の当選の確度が上昇した一方、当人によるドル高を懸念する発言などがドル安を助長し、2,400ドル台に乗せた後も上昇の流れを継続した。17日には月間最高値となる2,480ドル近辺まで上昇したものの、あまりにも急激な上昇だっただけに買い一巡後は利益確定の売りが優勢となり19日には2,400ドル近辺まで上げ幅を縮小した。
加えてトランプ前大統領の台頭は米中の貿易摩擦なども連想させ、これを受けてIT関連株が下落し、米株式市場も下落に転じたことから、金相場にも損失補填の換金売りが見られ22日には2,400ドル台を割り込んだ。その後25日に発表された米4~6月期GDP速報値の良好な結果を背景にドルが小幅に切り返す展開の中で2,365ドル近辺まで下押す場面もあったが、月末に控える7月のFOMCで今後の利下げが明確化されるとの期待感などからドル安が再度進むと金相場は持ち直し、2,420ドル近辺で月を終えた。
■円建て金相場
12,073円近辺でスタートした円建て金相場は、為替が円安水準にあり、ドル建て金価格が上昇基調を形成したことで、円建て相場も上昇基調となった。その中で、11日には米CPIが発表され物価下落が確認されると、機を同じくして日銀が為替介入を実施。為替市場が円高基調へと切り返していくこととなったが、この時点でドル安も相応に進んだことでドル建て金価格が上昇し、17日には月間最高値となる12,618円を付けた。その後も本邦政府の日銀に対する利上げ要求の報道などから円高の基調が継続すると、それまで上昇していたドル建て金相場の上昇も一服し、月末にかけては軟調な地合いを形成することとなった。為替市場で急激に進む円高の流れの中、25日には12,000円を割り込み、26日には月間最安値となる11,734円を付けた。さすがにこの水準ではドル建て価格の切り返しも見られたことから値を戻すと11,862円での越月となった。
プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
995ドル近辺でスタートした7月のドル建てプラチナ相場は、4日に米国が独立記念日で休みとなる前後、市場参加者が減少する中で市場予想を下回る経済指標が続き、利下げへの期待感を背景としてドル建て価格は1,000ドルに乗せた。5日の米雇用統計では一部指標が市場予想を上回るも、失業率は低下するなど強弱入り混じる内容となり月間最高値となる1,035ドル近辺を付けた。その後は買い一巡からの利益確定の動きなどでやや弱含む場面も見られ1,000ドルを割り込んだが、騰勢を強める金相場を見た投機筋の買いが下値も支えるという形になり、11日の米6月CPIや、16日の米6月小売売上高の市場予想を超える結果などからもほぼ影響を受けることなく980ドル~1,020ドルという非常に狭いレンジでの値動きとなった。ただ、その間に発生したトランプ元大統領の暗殺未遂からの次期大統領当選の確度上昇への流れがあり、これによって米中貿易摩擦の深刻化などが連想され、米株式が軟化に転じた。月後半にかけて、ひとたび疑念が生まれ下落に転じた米株価は米企業決算の内容も相まって徐々に鮮明化していった。プラチナ相場も同様に売りが散見されるようになり900ドル台半ばへと下落していくと、26日には月間最安値となる934ドル近辺を付けた。ただ月末に控えるFOMCで利下げへの方向感の明確化とそれに伴う経済減速の歯止めが期待され965ドル近辺でやや下落幅を縮小して越月した。
■円建てプラチナ相場
7月の円建てプラチナ価格は5,227円でスタートしたのち、ドル建て相場がもみ合いとなり方向感を欠く中で5,200から5,400円近辺でのレンジ相場を形成することとなった。ドル建て相場が最高値を付けた5日の翌営業日である8日には円建て価格も最高値となる5,369円を付けた。しかし、月中旬以降は米経済の減速懸念や先行き不透明感を嫌気する形で米株式市場が下落に転じると、プラチナ相場にも売りが散見されるようになっていくこととなった。時期を同じくして11日の日銀の為替介入以降、為替市場の流れが円高方向へと傾いたことも月末にかけての軟調地合いに拍車をかけることとなり、26日には月間最安値となる4,741円を付け、月末31日はやや戻し4,811円で越月した。
銀(Silver)
■ドル建て銀相場
29.00ドル近辺でスタートした7月のドル建て銀相場は、金相場と同様に利下げ期待感から上昇し31ドル台に乗せる展開となったが、この水準では投機筋の利益確定の売りも散見される展開となり、上値が抑えられる格好となった。一方で月の中旬にかけては米経済指標の弱い結果を受けてのドル安が継続したことから下値も支えられる形となり30.50から31.50ドルでのレンジ相場を形成する形となった。11日に発表された6月の米CPIの発表の後には月間最高値となる31.70ドル近辺を付ける場面も見られたが、トランプ前大統領の暗殺未遂とそれに伴う米選挙の行方の不透明感を受けて、市場の意識は利下げの期待に伴うドル安という面から、米経済並びに世界経済の減速に対する警戒感という視点に移っていく形となり、銀相場は20日頃には月初の水準に近しいレベルまで下落した。月末にかけてもこの警戒感の強い状況は続き、26日に月初の水準を割り込むと、投機筋の損失確定の売りも巻き込んで大きく下落し、一時月間最安値の水準となる27.50ドル近辺まで下落した。この価格帯では投機筋の買い戻しも見られて切り返すと、28.00ドル近辺で越月した。
■円建て銀相場
7月の円建て銀相場は総じてドル建て銀相場の動きを踏襲する展開となった。153.20円でスタートすると、8日には月間最高値となる163.90円を付けるまで上昇したが、この後はドル建て相場の下落に下押しされる形となり15日には160円を割り込む水準まで下落した。月末にかけては円高の急速な進行と、ドル建て価格の下落という両面からの下げ要因が相場を更に押し下げることとなり、30日には月間最安値となる141.10円を付ける水準まで売り込まれ、142.60円で月を終えた。
■為替
161.23円でスタートした7月の円相場は軟調な米6月ISM製造業景況指数やパウエルFRB議長の物価低下に言及する発言がドル安を誘うも、米株高などが後押しとなり円安が進んだ。その後も米ISM非製造業景況指数などが予想を下回り、強弱感入り混じる米雇用統計の結果なども相まってややドル安基調が意識される展開となった。161円を意識する値動き中で、11日米6月CPIの発表前に月間最安値となる161.73円まで円安が進んだ。その後同指標が市場予想を下回り、同時に日銀による為替介入が実施されると一時157円台まで円高が進むこととなった。16日には米6月小売売上高の予想を上回る好結果で切り返す場面も見られたが、本邦政府の日銀に対する利上げ要求報道などから18日には155円台まで円高が進んだ。同時にトランプ前大統領のドル高懸念発言も円高を後押しすることとなり、円高基調は月末にかけても続く事となった。米4-6月期GDP速報値が上振れた25日の翌日には154円台へとやや戻す場面も見られたが、月末に控えた日銀の金融政策決定会合を前に総じて円高基調は変わらずに31日には月間最安値となる152.44円を付けて月を終えた。なお日銀は予想通り利上げと国債買い入れ額の減額を決めた。
略語注釈
ISM:全米供給管理協会
FRB:米連邦準備制度理事会
GDP:国内総生産
FOMC:米連邦公開市場委員会
CPI:消費者物価指数
金 プラチナ 銀 US$:市価 円建:税抜参考小売価格 為替:TTM
金(Gold)
■ドル建て金相場
7月のドル建て金相場は、月間最安値となる2,325ドル近辺で始まると、1日のISM製造業景況指数、3日のISM非製造業景況指数が共に市場予想を下回り、2日にはパウエルFRB議長の物価の鈍化が再開したとの見方の発言が伝わったことで、9月の利下げに対する思惑に起因したドル安を背景として、早々に2,300ドル台半ばから後半へと値を切り上げた。その後の5日に発表された米雇用統計も強弱感が入り混じる結果となり、上昇の流れを崩すものにはならなかった。8日に中国中央銀行による外貨準備の金購入が5月に続き6月もゼロであったとの事が報じられると、価格の押し上げ要因の減少という意識が成され2,360ドル近辺へと小幅に下押す場面も見られた。しかし、11日に発表された米6月消費者物価指数の前年同月比の数値が市場予想に対して下振れすると、インフレ鈍化を好感する形でドル安が進行した。金相場はこの動きを囃して2,400ドル台へと上昇した。13日の土曜日には米大統領選候補であるトランプ前大統領の暗殺未遂が報じられ、トランプ大統領の当選の確度が上昇した一方、当人によるドル高を懸念する発言などがドル安を助長し、2,400ドル台に乗せた後も上昇の流れを継続した。17日には月間最高値となる2,480ドル近辺まで上昇したものの、あまりにも急激な上昇だっただけに買い一巡後は利益確定の売りが優勢となり19日には2,400ドル近辺まで上げ幅を縮小した。
加えてトランプ前大統領の台頭は米中の貿易摩擦なども連想させ、これを受けてIT関連株が下落し、米株式市場も下落に転じたことから、金相場にも損失補填の換金売りが見られ22日には2,400ドル台を割り込んだ。その後25日に発表された米4~6月期GDP速報値の良好な結果を背景にドルが小幅に切り返す展開の中で2,365ドル近辺まで下押す場面もあったが、月末に控える7月のFOMCで今後の利下げが明確化されるとの期待感などからドル安が再度進むと金相場は持ち直し、2,420ドル近辺で月を終えた。
■円建て金相場
12,073円近辺でスタートした円建て金相場は、為替が円安水準にあり、ドル建て金価格が上昇基調を形成したことで、円建て相場も上昇基調となった。その中で、11日には米CPIが発表され物価下落が確認されると、機を同じくして日銀が為替介入を実施。為替市場が円高基調へと切り返していくこととなったが、この時点でドル安も相応に進んだことでドル建て金価格が上昇し、17日には月間最高値となる12,618円を付けた。その後も本邦政府の日銀に対する利上げ要求の報道などから円高の基調が継続すると、それまで上昇していたドル建て金相場の上昇も一服し、月末にかけては軟調な地合いを形成することとなった。為替市場で急激に進む円高の流れの中、25日には12,000円を割り込み、26日には月間最安値となる11,734円を付けた。さすがにこの水準ではドル建て価格の切り返しも見られたことから値を戻すと11,862円での越月となった。
プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
995ドル近辺でスタートした7月のドル建てプラチナ相場は、4日に米国が独立記念日で休みとなる前後、市場参加者が減少する中で市場予想を下回る経済指標が続き、利下げへの期待感を背景としてドル建て価格は1,000ドルに乗せた。5日の米雇用統計では一部指標が市場予想を上回るも、失業率は低下するなど強弱入り混じる内容となり月間最高値となる1,035ドル近辺を付けた。その後は買い一巡からの利益確定の動きなどでやや弱含む場面も見られ1,000ドルを割り込んだが、騰勢を強める金相場を見た投機筋の買いが下値も支えるという形になり、11日の米6月CPIや、16日の米6月小売売上高の市場予想を超える結果などからもほぼ影響を受けることなく980ドル~1,020ドルという非常に狭いレンジでの値動きとなった。ただ、その間に発生したトランプ元大統領の暗殺未遂からの次期大統領当選の確度上昇への流れがあり、これによって米中貿易摩擦の深刻化などが連想され、米株式が軟化に転じた。月後半にかけて、ひとたび疑念が生まれ下落に転じた米株価は米企業決算の内容も相まって徐々に鮮明化していった。プラチナ相場も同様に売りが散見されるようになり900ドル台半ばへと下落していくと、26日には月間最安値となる934ドル近辺を付けた。ただ月末に控えるFOMCで利下げへの方向感の明確化とそれに伴う経済減速の歯止めが期待され965ドル近辺でやや下落幅を縮小して越月した。
■円建てプラチナ相場
7月の円建てプラチナ価格は5,227円でスタートしたのち、ドル建て相場がもみ合いとなり方向感を欠く中で5,200から5,400円近辺でのレンジ相場を形成することとなった。ドル建て相場が最高値を付けた5日の翌営業日である8日には円建て価格も最高値となる5,369円を付けた。しかし、月中旬以降は米経済の減速懸念や先行き不透明感を嫌気する形で米株式市場が下落に転じると、プラチナ相場にも売りが散見されるようになっていくこととなった。時期を同じくして11日の日銀の為替介入以降、為替市場の流れが円高方向へと傾いたことも月末にかけての軟調地合いに拍車をかけることとなり、26日には月間最安値となる4,741円を付け、月末31日はやや戻し4,811円で越月した。
銀(Silver)
■ドル建て銀相場
29.00ドル近辺でスタートした7月のドル建て銀相場は、金相場と同様に利下げ期待感から上昇し31ドル台に乗せる展開となったが、この水準では投機筋の利益確定の売りも散見される展開となり、上値が抑えられる格好となった。一方で月の中旬にかけては米経済指標の弱い結果を受けてのドル安が継続したことから下値も支えられる形となり30.50から31.50ドルでのレンジ相場を形成する形となった。11日に発表された6月の米CPIの発表の後には月間最高値となる31.70ドル近辺を付ける場面も見られたが、トランプ前大統領の暗殺未遂とそれに伴う米選挙の行方の不透明感を受けて、市場の意識は利下げの期待に伴うドル安という面から、米経済並びに世界経済の減速に対する警戒感という視点に移っていく形となり、銀相場は20日頃には月初の水準に近しいレベルまで下落した。月末にかけてもこの警戒感の強い状況は続き、26日に月初の水準を割り込むと、投機筋の損失確定の売りも巻き込んで大きく下落し、一時月間最安値の水準となる27.50ドル近辺まで下落した。この価格帯では投機筋の買い戻しも見られて切り返すと、28.00ドル近辺で越月した。
■円建て銀相場
7月の円建て銀相場は総じてドル建て銀相場の動きを踏襲する展開となった。153.20円でスタートすると、8日には月間最高値となる163.90円を付けるまで上昇したが、この後はドル建て相場の下落に下押しされる形となり15日には160円を割り込む水準まで下落した。月末にかけては円高の急速な進行と、ドル建て価格の下落という両面からの下げ要因が相場を更に押し下げることとなり、30日には月間最安値となる141.10円を付ける水準まで売り込まれ、142.60円で月を終えた。
■為替
161.23円でスタートした7月の円相場は軟調な米6月ISM製造業景況指数やパウエルFRB議長の物価低下に言及する発言がドル安を誘うも、米株高などが後押しとなり円安が進んだ。その後も米ISM非製造業景況指数などが予想を下回り、強弱感入り混じる米雇用統計の結果なども相まってややドル安基調が意識される展開となった。161円を意識する値動き中で、11日米6月CPIの発表前に月間最安値となる161.73円まで円安が進んだ。その後同指標が市場予想を下回り、同時に日銀による為替介入が実施されると一時157円台まで円高が進むこととなった。16日には米6月小売売上高の予想を上回る好結果で切り返す場面も見られたが、本邦政府の日銀に対する利上げ要求報道などから18日には155円台まで円高が進んだ。同時にトランプ前大統領のドル高懸念発言も円高を後押しすることとなり、円高基調は月末にかけても続く事となった。米4-6月期GDP速報値が上振れた25日の翌日には154円台へとやや戻す場面も見られたが、月末に控えた日銀の金融政策決定会合を前に総じて円高基調は変わらずに31日には月間最安値となる152.44円を付けて月を終えた。なお日銀は予想通り利上げと国債買い入れ額の減額を決めた。
略語注釈
ISM:全米供給管理協会
FRB:米連邦準備制度理事会
GDP:国内総生産
FOMC:米連邦公開市場委員会
CPI:消費者物価指数