マーケット市況情報

2024年07月08日 12時00分

2024年6月の貴金属市況2024年07月08日 12時00分

価格ベース
金 プラチナ 銀 US$:市価 円建:税抜参考小売価格 為替:TTM

金(Gold)
■ドル建て金相場
2,330ドル近辺でスタートした6月のドル建て金相場は、米経済の減速を意識させる米経済指標が散見されたことで底堅い推移となった。6日にECB政策理事会が0.25%の利下げを決定すると、欧州の結果を受けて米国でも利下げ期待感が強まり8日には月間最高値の水準となる2,385ドル近辺まで上昇した。しかし、7日に発表された米5月雇用統計は失業率こそ上昇したものの、非農業部門雇用者数変化は市場予想の18.5万人増に対して27.2万人増と予想以上の好結果となり、前述の利下げ期待感を後退させる結果となったことに加えて、中国中央銀行が18か月連続で続けてきた外貨準備の金購入を5月はゼロとしたことが報じられると、中央銀行の購入による金価格のサポートが一巡するのではないかとの警戒感が台頭し2,300ドルを割り込んで一時2,290ドル近辺へと急落した。下落一巡後は急落を受けた値ごろ感からの買いに値を戻す展開となるも、12日に発表された5月の米消費者物価指数も市場予想を下回り、同日に発表された米FOMCの結果は金利据え置きとし、年内利下げも1回という見方が示されたことで、市場が持っていた利下げ期待を打ち消す内容であったことから、ドル高基調が金相場の上値を抑え、月初水準の2,330ドル近辺での推移となった。月末にかけても、19日の米国休日の中で2,360ドル近辺まで値を飛ばす場面もあったが、すぐに値を戻し2,330ドル近辺と中心レンジとしての往来相場を形成しそのまま越月した。

■円建て金相場
11,810円でスタートした6月の円建て金相場は、ドル建て金価格が7日に最高値を付けたことから一時11,962円まで上昇したが、中国の中央銀行が外貨準備の購入を5月に停止したとの報道がながれると一転して急落し、10日には月間最安値となる11,635円まで下落した。この水準からはドル建て金価格が戻り基調となったことに加えて、月末にかけて円安に向けて進行する展開となったことで、円建て相場は堅調に値を戻し21日には月間最高値となる12,119円を付けた。月末にかけては大台を超えた場面では投機筋の利益確定の売りなども散見されたほか、中国の中央銀行の次の動きを警戒しもみ合う展開となり12,058円で越月した。

プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
月間最高値の水準となる1,030ドル近辺でスタートした6月のドル建てプラチナ相場は、前月に付けた1,100ドルの高値からの調整ムードを踏襲し軟調地合いとなると、原油相場の下落などから金融性の高い金相場以外では商品市場全般で売りが先行する展開となり、プラチナ相場も多分に漏れず軟調地合いとなった。4月以降、急速に値を上げていたことから投機家の利益確定売りも根強く、また12日のFOMCで金利据え置きと、緩やかな利下げの方針が示されると、利下げによる景気回復などへの期待感も後退し、14日に950ドル近辺を付けるまでほぼ一本調子で下落相場を形成した。この水準では値ごろ感の買いも見られサポートされると、月末にかけては徐々に値を戻してく展開となった。その後、24日にパラジウム相場がリースレートの上昇などから先物市場で買戻される動きが強まり価格が上昇すると、プラチナにも相場上昇の期待が波及する展開を見せ1,000ドル台へ回復。1,010ドル近辺で月を終えた。

■円建てプラチナ相場
月間最高値の5,345円でスタートした6月の円建てプラチナ相場は、前月から続く軟調な地合いをドル建て相場が継続したことで、円建て相場も総じて軟調な地合いを形成し14日には月間最安値となる4,893円を付けた。ただドル建て相場の下落の流れも中旬以降は切り返したほか、月末にかけては円安も大きく進行したことで、月初からの下落に対して戻りを試す展開となり、18日には5,000円台を回復。5,216円で越月した。

銀(Silver)
■ドル建て銀相場
30.40ドル近辺でスタートした6月のドル建て銀相場は商品市場全般で見られた軟調な展開の影響を受けて29.60ドル近辺へ下落した。その後金相場が急騰する場面で30ドル台を回復し30.30ドル近辺まで上昇する場面も見られたが、7日の米5月雇用統計の好結果により利下げ期待感が後退し、また中国中央銀行の金購入が5月ゼロであったとの報道から金相場を追いかける形で下落へと転じ、29.10ドル近辺まで大きく値を下げることとなった。その後は目立った材料もない中で、自律的に反発する流れとなり20日ごろには30.00ドル近辺まで回復する場面も見られたが、前月の急騰からひと相場終わった感も強く、30ドルの大台替わりでは投機筋の利益確定の動きも根強かったことから値を崩し、月末近辺には月間最安値の水準となる28.80ドル近辺へと値を落とす場面も見られ、29.370ドルで越月した。

■円建て銀相場
6月の円建て銀相場は4月から5月にかけて大きな動きをドル建て価格が示していたことで、やや材料の出尽くし感が感じられる状況となり、総じて150円台前半で方向感のない値動きとなった。156.10円でスタートすると、中旬にかけては何度か150円割れの水準の下値をトライする展開となったが大台はサポートされていた。14日に金相場が急落したことでドル建て銀相場も売られると月間最安値となる148.60円を付け、月内で唯一150円の大台を割る場面も見られた。その後はドル建て価格も持ち直し、円安の進行も相まって広いレンジでもみ合いながらも円建て相場は下値を切り上げ、円建て金価格の最高値日と同じ21日に一時160.10円を付け152.40円で月を終えた。


■為替
JPY
6月の円相場は157.17円でスタートし、前月末の米個人消費等の下振れを受けた利下げ期待感が優勢となり円高基調となると5日には米5月ADP雇用統計も市場予想を下回り、月間最安値となる155.30円まで円高が進んだ。しかし、7日の米雇用統計は一転して市場予想を大きく上回り、これにより米金利が上昇。円相場は再びドル高円安へと振れていく展開となり157円台へと値を戻した。12日には米消費者物価指数が下振れした場面で155円台へと値を飛ばす場面も見られたが、同日のFOMCでは年内利上げ1回が穏当との見方が示された事で、すぐに157円台を回復した。続く日銀金融政策決定会合では長期国債の買い入れ額の減額する方針が示されたものの、方針は7月会合で決定とされた事で、失望感から円安が進んでいく展開となった。その後は月末にかけても米FRB高官らの利下げに消極的な姿勢が示されたことや、21日に米財務省が日本を為替操作国の監視リストに追加したことが報じられると、介入の難度が上がったとの見方が広がり円安基調が加速した。月末近辺では160円台に乗せ、月間最安値となる161.14円という5月の介入による円高押し下げを全て打ち消す形で越月した。


略語注釈
ECB:欧州中央銀行
FOMC:米連邦公開市場委員会
ADP:オートマティック・データ・プロセッシング社
FRB:米連邦準備制度理事会
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