マーケット市況情報

2024年06月10日 15時00分

2024年5月の貴金属市況2024年06月10日 15時00分

価格ベース
金 プラチナ 銀  円建:税抜参考小売価格  為替:TTM

金(Gold)
■ドル建て金相場
2,300ドル近辺でスタートした5月のドル建て金相場は月初、月間最安値水準となる2,290ドル近辺を付けると、4月30 日から開かれたFOMCでは金利の据え置きが決定された。その後のFRB議長の会見は、次の動きは利上げではないとの認識を示すやや緩和的な内容であったことから、米長期金利が軟化した。この動きを受けて金相場は上昇し2,300ドル以上を定着させる動きとなった。3日には米雇用統計が発表され、失業率の上昇などを示す弱い結果となったことに加えISM製造業・非製造業景況指数が共に市場予想を下回る低調な結果となったために、長期金利の軟調地合いが続く展開となった。金相場はこの動きから底堅い推移を見せていたが、次第に上昇圧力が強まっていく形となり、9日に足元の節目であった2,330ドルを抜けると2,370ドルまで一気に上昇する展開となった。中旬に米国の物価関連指標や小売売上高の発表を控えていただけに、この上昇の後は利益確定の売りも入り2,340ドル近辺まで下落するも、15日に米CPIが発表され前月から物価上昇幅が鈍化したことが確認された。これに加えて米小売売上高が市場予想を大きく下回る結果となったことから、市場の利下げ期待が加速する形なった。この市場環境の変化を受けて金相場は大きく上昇し、20日には月間最高値となる2,450ドル近辺の水準まで上昇した。しかし22日に発表されたFOMC議事録でインフレが進めば金融引き締めもありうるという内容が示されると、これまでの上昇に対する利益確定の売りが出て金相場は一気に値を崩し2,340ドル近辺へと値を下げた。大きな上昇とそこからの大きな下落を経たことで、市場にはやや達成感も出たことから、月末にかけては狭いレンジで往来することとなり2,340ドル近辺で月を終えた。

■円建て金相場
11,674円でスタートした5月の円建て金相場は、月初本邦の為替介入の動きから円高が大きく進行したことで円建て価格が軟調となり8日に月間最安値となる11,581円へと下落した。しかし、介入によって進んだ円安はすぐに金利差などを背景に円安方向へ押し戻されていき、一方で、中旬以降はドル建て金価格が大きく上昇したことから、21日には月間最高値となる12,252円を付けた。その後、月末にかけてはドル建て価格の騰勢が一巡したことから値を戻し、11,872円で月を終えた。


プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
940ドル近辺でスタートした5月のドル建てプラチナ相場は、月初にFOMCの結果からドル安基調となったことを受けて、1,000ドルを意識してじり高の展開となった。9日に発表されたJohnson Matthey社の需給レポートで供給不足が報じられたことなどもこの上昇を後押ししたとみられ、14日には1,000ドルに到達した。2023年に1,000ドルを割り込んで以降、5度目の1,000ドルトライとなったドル建てプラチナ相場は、15日に発表された米CPIで物価上昇が鈍化したことや、米小売売上高の予想を大きく下回る結果を受けて利下げ期待感が増大したために、一気に1,000ドルを抜けて上昇していく展開となった。欧米圏の投資家が騰勢を強める金相場や銀相場に代わる投資先を模索した動きも巻き込んだとみられ、20日には月間最高値となる1,100ドル近辺まで続伸した。しかし、本水準も2021年からの長いレンジで見ると、過去5回抑え込まれている水準であり、投機筋の利益確定の売りも散見され下落に転じた。その後、22日に発表されたFOMC議事録が利下げに慎重な姿勢であると受け止められると、下げ幅が拡大する展開となったが、1,000ドルの節目は意識されて値ごろ感の買いから下支えされサポートされると、月末にかけては往来相場を形成し1,030ドル近辺で月を終えた。

■円建てプラチナ相場
4,825円でスタートした5月の円建てプラチナ相場は、為替介入に伴う円高により7日に月間最安値となる4,824円を付けた。しかし、騰勢を強める金価格に後追いする形でドル建てプラチナ価格が上昇基調となると20日には月間最高値となる5,492円まで上昇した。月末にかけてはドル建て価格の上昇が一巡したことで小幅に下落し、その後は狭いレンジでもみ合う展開となり5,267円で月を終えた。


銀(Silver)
■ドル建て銀相場
月間最安値となる26.30ドル近辺でスタートした銀相場は金相場に比して出遅れ感のある市場環境に注目した欧米圏からの投機筋の買いが入り月初から上昇基調を形成した。中旬にかけては前月の高値であった29ドル近辺を意識した展開となったが、15日に発表された米CPIや米小売売上高の結果を受けて利下げ期待の高まった場面では、非鉄相場の上昇などとも歩調を合わせる形で急騰し一時32.50ドル近辺まで上昇した。その後、22日のFOMC議事録では市場で盛り上がっていた利下げ期待が一巡すると、一転して投機筋の利益確定売りが入り30ドル近辺まで下落した。しかし、30ドル近辺では値ごろ感の買いも入り下支えされると、その後は月末にかけて再び上昇する展開となり、32.25ドル近辺で月を終えた。

■円建て銀相場
5月の円建て銀相場は月初に月間最安値となる136.10円でスタートすると、10日ごろまでは様子見ムードが強く小動きに終始したが、その後はドル建て銀価格が欧米圏などで投機的な買いが強まり騰勢を強めたことで上昇基調を形成した。高値追いとなったドル建て価格の動きは円建て価格を押し上げ、30日には月間最高値となる164.90円を付け、その後159.80円で月を終えた。


■為替
JPY
157.93円近辺でスタートした5月の円相場は4月30日から開かれたFOMCの結果が利下げ方向ととらえられると、その後2日の早朝に本邦の為替介入が行われたことから、一時153円台前半まで円高に進んだ。本邦休日の3日には米雇用統計の弱い結果を受けてドル安が進み一時151円台まで円高が進んだが、その後は日米金利差を意識して値を戻す展開となり、また徐々に介入の効力は薄れていき9日には155円台に値を戻した。中旬に入り、15日に発表された米4月CPIが鈍化と報じられ、また米小売売上高が市場予想を下回ると、16日には一時月間最安値となる153.96円まで円高が進んだが、これも長続きせずにすぐに155円台へと切り返した。
その後はめぼしい材料が一巡したことで、米経済指標やFRB高官の発言などに左右される展開が中心になったものの、22日に発表されたFRB議事録が利下げに対してはやや否定的な内容であったことが伝わると、ドル高が亢進し円相場は157円ばさみの水準まで円安が進行し、そのまま156.75円で月を終えた。


略語注釈
FOMC:米連邦公開市場委員会
FRB:米連邦準備制度理事会
ISM:全米供給管理協会
CPI:消費者物価指数
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