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マーケット市況情報
2024年01月12日 13時00分
2023年12月の貴金属市況2024年01月12日 13時00分
価格ベース
金 プラチナ 銀 US$:LBMA Price 円建:税抜参考小売価格 為替:TTM
金(Gold)
■ドル建て金相場
2,044.55ドルでスタートした12月のドル建て金相場は前月からの上昇基調を引き継いで上昇すると、4日のアジア時間には投機筋の損失確定の買いとみられる動きから瞬間的に2,135ドル近辺まで急騰した。(ただし、本月報では価格指標としてLBMA Priceを採用しているため、あくまでも参考の記録。)しかし、この状況は投機的なパニックとの見方が強く、高値圏での推移は長くは続かず、欧州時間に入るまでには沈静化し同日の価格は2,066.95ドルとなると、その後は下落する展開となった。8日に発表された米雇用統計は市場予想を上回る好結果となり米利下げ時期が後ろ倒しになるとの見方が強まるとドルが上昇し、金相場は2,000ドルの大台を割り込んだ。13日にはFOMCの結果が示され5.25-5.50%で金利据え置きが決定された。加えて追加利上げの可能性が低いことが示唆されたが、同日に発表された米CPIが前月から変わらない内容となり、利下げを織り込むにはやや尚早な結果との見方が強まると、月間最安値となる1,980.85ドルまで下落した。しかし、その後はクリスマス休暇を前に年内の主要イベントが終了した中で、FRBの姿勢が着実に利下げ方向に向かっているとの思惑から14日には2,000ドル台を回復。その後も21日の米第3四半期GDPが下方改定される結果などから、金利の先安観が強まっていく中で、じりじりとドル安が進むとともに、金相場は上昇していく展開となり、28日にはLBMA Priceベースで史上最高値を更新する形で月間最高値となる2,078.40ドルを付け、翌日29日は小幅に下落し2,062.40ドルで月を終えた。
■円建て金相場
9,745円でスタートした12月の円建て金相場は4日のアジア時間のオープンでドル建て金相場が著しい急騰を見せたことで、月間最高値・史上最高値となる9,935円へと上昇する展開となった。その後はドル建て金価格が軟化したことや本邦日銀総裁の発言などから進行した円高を背景に中旬にかけて軟調に推移し、18日には月間最安値となる9,295円まで円相場は下落することとなった。その後年末にかけては為替が持ち直しに転じたことや、ドル建て金価格が上昇基調になったことで価格は反発に転じ9,523円で月を終えた。
プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
937ドルでスタートした12月のドル建てプラチナ相場は5日に米格付け会社ムーディーズが中国の格付け見通しを、成長減速と債務増加を理由に安定的からネガティブへと変更したことを受けて、景気の先行き不透明感が強まり軟調な相場展開となった。7日には一時900ドルの大台を割り込み月間最安値となる899ドルを付けたが、このレベルでは値ごろ感からの投機的な買いが見られて、900ドル台を回復した。前述の要因から、月初から下落していた中で、FRBは13日まで開いたFOMCで、政策金利を予想通り維持を決定。併せて金利の先行きとしては利下げ方向を示唆する内容を発表したことで、利下げに伴う景況感の持ち直しに対する期待感などもあり月初の水準に近い900ドル台中盤まで値を戻した。21日に発表された米第3四半期GDPは下方改定され、将来的な利下げに対して追い風となり、また金相場に比べての出遅れ感なども意識され買われることとなり、28日には1,000ドルの大台に乗せ、29日には月間最高値となる1,006ドルを付けて月を終えた。
■円建てプラチナ相場
4,505円でスタートした12月の円建てプラチナ相場は、ドル建てプラチナ相場の軟調な地合いを映して下落基調となると、8日には円高の進行も相まって値を下げることとなり、月間最安値となる4,288円へと下落した。しかし、その後はドル建てプラチナ相場が持ち直しを見せたことから、反発に転じるとじり高の展開を形成。月末27日には月間最高値となる4,569円で月を終えることとなった。
銀(Silver)
■ドル建て銀相場
25.160ドルでスタートした12月のドル建て銀相場は、4日に金相場が突然の急騰を見せた動きに追随して、月間最高値となる25.165ドルへと上昇した。しかし、金相場同様に高値圏を維持する状況は続かず。また世界的な景気の先行き不透明感が意識されると、産業系メタルの側面からじり安の展開となり、米政策金利の据え置きが発表された13日には月間最安値となる22.725ドルへ下落した。しかし、FRBが政策のスタンスを利下げ方向へと転じつつあるとの見方が広がるにつれ、一転して上昇する展開となり、24ドル台近辺へと値を戻し、その後はクリスマス休暇を控えて欧米を中心に取引が控えられる中で、方向感に欠ける相場展開を続けて23.790ドルで月を終えた。
■円建て銀相場
月間最高値となる123.60円でスタートした12月の円建て銀相場は、金やプラチナに先んじて下落基調を強めたドル建て銀相場の動きを映す形で急速に値を下げる展開となり、13日には月間最安値となる109.60円まで下落した。ただ、この水準では値ごろ感の買いなども入って持ち直すと、その後年末にかけては113円~114円を往来する方向感のない値動きとなり、114.20円での越月となった。
■為替
月間最高値となる147.86円の円安水準でスタートした12月の為替相場は8日の米雇用統計の発表を控えて当初は手掛かりに欠け、147円を挟んだ往来相場を形成したものの、日銀の植田総裁が7日に国会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」との発言をしたことで、本邦マイナス金利の早期解除に対する憶測交じりの思惑が交錯して急激に円高が進む形となり、8日には一時143円台まで円高が進んだ。その後、8日の米雇用統計が市場予想を上回り、米国の金利先安観がやや後退したことで円相場もすぐに切り返し145円台に値を戻した。12日のFOMCでは米政策金利は据え置かれ、米CPIも前月比変わらずの結果などであったことから、利下げに対する思惑はさらに後退。146円台をうかがう水準までドルの下落が見られたものの、クリスマスを前に海外の主要イベントを終えたムードとなる中で、市場の注目は18日~19日に開かれる日銀の金融政策決定会合へと移り、月初の発言の真意待ちの中で徐々に円高が142円台へと進んでいった。19日の金融政策決定会合では前述の発言とは裏腹に全面的な現状維持が示され、市場対話能力という点で疑義を残す結果となり、それまでの円高に対する利益確定の動きなども交錯し144円台へと円安が進んだ。年末にかけてはめぼしい材料が不足する中で、FRBの利下げに対する姿勢が意識されて米長期金利が低下し、同時にドルが軟調に推移し円相場は円高方向に進むこととなり29日に141.82円の円高ドル安水準で月を終えた。
略語注釈
FOMC:米連邦公開市場委員会
CPI: 消費者物価指数
FRB:米連邦準備制度理事会
GDP: 国内総生産
金 プラチナ 銀 US$:LBMA Price 円建:税抜参考小売価格 為替:TTM
金(Gold)
■ドル建て金相場
2,044.55ドルでスタートした12月のドル建て金相場は前月からの上昇基調を引き継いで上昇すると、4日のアジア時間には投機筋の損失確定の買いとみられる動きから瞬間的に2,135ドル近辺まで急騰した。(ただし、本月報では価格指標としてLBMA Priceを採用しているため、あくまでも参考の記録。)しかし、この状況は投機的なパニックとの見方が強く、高値圏での推移は長くは続かず、欧州時間に入るまでには沈静化し同日の価格は2,066.95ドルとなると、その後は下落する展開となった。8日に発表された米雇用統計は市場予想を上回る好結果となり米利下げ時期が後ろ倒しになるとの見方が強まるとドルが上昇し、金相場は2,000ドルの大台を割り込んだ。13日にはFOMCの結果が示され5.25-5.50%で金利据え置きが決定された。加えて追加利上げの可能性が低いことが示唆されたが、同日に発表された米CPIが前月から変わらない内容となり、利下げを織り込むにはやや尚早な結果との見方が強まると、月間最安値となる1,980.85ドルまで下落した。しかし、その後はクリスマス休暇を前に年内の主要イベントが終了した中で、FRBの姿勢が着実に利下げ方向に向かっているとの思惑から14日には2,000ドル台を回復。その後も21日の米第3四半期GDPが下方改定される結果などから、金利の先安観が強まっていく中で、じりじりとドル安が進むとともに、金相場は上昇していく展開となり、28日にはLBMA Priceベースで史上最高値を更新する形で月間最高値となる2,078.40ドルを付け、翌日29日は小幅に下落し2,062.40ドルで月を終えた。
■円建て金相場
9,745円でスタートした12月の円建て金相場は4日のアジア時間のオープンでドル建て金相場が著しい急騰を見せたことで、月間最高値・史上最高値となる9,935円へと上昇する展開となった。その後はドル建て金価格が軟化したことや本邦日銀総裁の発言などから進行した円高を背景に中旬にかけて軟調に推移し、18日には月間最安値となる9,295円まで円相場は下落することとなった。その後年末にかけては為替が持ち直しに転じたことや、ドル建て金価格が上昇基調になったことで価格は反発に転じ9,523円で月を終えた。
プラチナ(Platinum)
■ドル建てプラチナ相場
937ドルでスタートした12月のドル建てプラチナ相場は5日に米格付け会社ムーディーズが中国の格付け見通しを、成長減速と債務増加を理由に安定的からネガティブへと変更したことを受けて、景気の先行き不透明感が強まり軟調な相場展開となった。7日には一時900ドルの大台を割り込み月間最安値となる899ドルを付けたが、このレベルでは値ごろ感からの投機的な買いが見られて、900ドル台を回復した。前述の要因から、月初から下落していた中で、FRBは13日まで開いたFOMCで、政策金利を予想通り維持を決定。併せて金利の先行きとしては利下げ方向を示唆する内容を発表したことで、利下げに伴う景況感の持ち直しに対する期待感などもあり月初の水準に近い900ドル台中盤まで値を戻した。21日に発表された米第3四半期GDPは下方改定され、将来的な利下げに対して追い風となり、また金相場に比べての出遅れ感なども意識され買われることとなり、28日には1,000ドルの大台に乗せ、29日には月間最高値となる1,006ドルを付けて月を終えた。
■円建てプラチナ相場
4,505円でスタートした12月の円建てプラチナ相場は、ドル建てプラチナ相場の軟調な地合いを映して下落基調となると、8日には円高の進行も相まって値を下げることとなり、月間最安値となる4,288円へと下落した。しかし、その後はドル建てプラチナ相場が持ち直しを見せたことから、反発に転じるとじり高の展開を形成。月末27日には月間最高値となる4,569円で月を終えることとなった。
銀(Silver)
■ドル建て銀相場
25.160ドルでスタートした12月のドル建て銀相場は、4日に金相場が突然の急騰を見せた動きに追随して、月間最高値となる25.165ドルへと上昇した。しかし、金相場同様に高値圏を維持する状況は続かず。また世界的な景気の先行き不透明感が意識されると、産業系メタルの側面からじり安の展開となり、米政策金利の据え置きが発表された13日には月間最安値となる22.725ドルへ下落した。しかし、FRBが政策のスタンスを利下げ方向へと転じつつあるとの見方が広がるにつれ、一転して上昇する展開となり、24ドル台近辺へと値を戻し、その後はクリスマス休暇を控えて欧米を中心に取引が控えられる中で、方向感に欠ける相場展開を続けて23.790ドルで月を終えた。
■円建て銀相場
月間最高値となる123.60円でスタートした12月の円建て銀相場は、金やプラチナに先んじて下落基調を強めたドル建て銀相場の動きを映す形で急速に値を下げる展開となり、13日には月間最安値となる109.60円まで下落した。ただ、この水準では値ごろ感の買いなども入って持ち直すと、その後年末にかけては113円~114円を往来する方向感のない値動きとなり、114.20円での越月となった。
■為替
月間最高値となる147.86円の円安水準でスタートした12月の為替相場は8日の米雇用統計の発表を控えて当初は手掛かりに欠け、147円を挟んだ往来相場を形成したものの、日銀の植田総裁が7日に国会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」との発言をしたことで、本邦マイナス金利の早期解除に対する憶測交じりの思惑が交錯して急激に円高が進む形となり、8日には一時143円台まで円高が進んだ。その後、8日の米雇用統計が市場予想を上回り、米国の金利先安観がやや後退したことで円相場もすぐに切り返し145円台に値を戻した。12日のFOMCでは米政策金利は据え置かれ、米CPIも前月比変わらずの結果などであったことから、利下げに対する思惑はさらに後退。146円台をうかがう水準までドルの下落が見られたものの、クリスマスを前に海外の主要イベントを終えたムードとなる中で、市場の注目は18日~19日に開かれる日銀の金融政策決定会合へと移り、月初の発言の真意待ちの中で徐々に円高が142円台へと進んでいった。19日の金融政策決定会合では前述の発言とは裏腹に全面的な現状維持が示され、市場対話能力という点で疑義を残す結果となり、それまでの円高に対する利益確定の動きなども交錯し144円台へと円安が進んだ。年末にかけてはめぼしい材料が不足する中で、FRBの利下げに対する姿勢が意識されて米長期金利が低下し、同時にドルが軟調に推移し円相場は円高方向に進むこととなり29日に141.82円の円高ドル安水準で月を終えた。
略語注釈
FOMC:米連邦公開市場委員会
CPI: 消費者物価指数
FRB:米連邦準備制度理事会
GDP: 国内総生産