家族で考えたい資産の話

母娘で考える資産セミナー(福岡)

家族の資産を守り、受け継ぐための有効な手段として、さらには将来の安心を支える柱として「金(ゴールド)」が注目されています。世界経済が混迷を続ける時代だからこそ、「賢い貯“金”で資産を守る」をテーマにした「母娘で考える資産セミナー」が8月1日、福岡市中央区大名の西鉄グランドホテルで開かれました。
主催は西日本新聞社、フクオカ・ビィーキ、協賛は田中貴金属工業。世界経済と金市場の動向に詳しい豊島逸夫事務所代表の豊島逸夫氏を講師に迎え、フリーキャスターの佐久間あすかさんと共に約100人の参加者は金の魅力や賢く運用するためのこつを学びました。

主催:西日本新聞社/フクオカ・ビィーキ 
協賛:田中貴金属工業
日時:2015年8月1日(土) 
会場:西鉄グランドホテル

母娘で考える資産セミナー 〜賢い貯“金”で資産を守る〜金を所有する優位性 ―経済危機のギリシャの現実

将来に強い危機感
豊島
今日のセミナータイトルに母娘とあります。私はこの業界30年ですが、母と娘にターゲットを絞ったセミナーは初めてです。
佐久間
会場には母と娘を中心に、幅広い年代の方々が参加されていますね。
豊島
母と娘でショッピングという方は多いでしょうが、母と娘で経済やお金について話し合う機会は、きっと少ないことでしょう。
佐久間
自分の家の資産について話し合うことは、あまりありませんね。
豊島
資産の継承について、親子で話すことへの遠慮がありますからね。今日のセミナーが、親子で経済やお金のことを話すきっかけになればと願っています。

資産セミナーの参加者は、以前はシニア層が圧倒的でしたが、最近は女性が急増しています。特に30代の女性は将来に強い危機感を抱いています。国も会社も年金も頼れないし、男はもっと頼れない状況ですからね。
私は投資という言葉が嫌いです。この言葉には安く買って高く売り、もうける、というニュアンスがあります。私はスイス銀行で12年間、プロとしてドルや金のディーラーをしてきました。全部で約3千回の相場を張って1600勝、1400敗といった戦績でした。扱う金額が大きいため1勝でも十分なもうけが出ますが、年間で勝ち越すことが重要であり、非常に大変なのです。

この経験からいえることは株やドル、金の売買で、自分だけリスクを避けて安く買い、高く売って自分一人だけもうけよう、というやり方は無理です。そんなに甘くはないのです。では、どうするか。そのキーワードが「貯(た)める」ということです。

金貨に込める愛情

豊島
スイス・チューリヒで見たある家族のアルバムには、1ページごとにポケットが付いていました。毎年の子どもの誕生日に、親が子どもの写真とメッセージに金貨を添えてポケットに入れていきます。このアルバムを結婚前日の晩、「困ったときには、金貨を売ってしのぎなさい」とプレゼントするのです。
佐久間
こんな形のアルバムを贈られたら、ものすごく愛情を感じますよね。
豊島
これが国債や株だとしたら、どうでしょうか。金貨だからこそ、子どもへの愛情がジンジン伝わるのです。これが本当の金であり、私が銀行で売買していた金は本物ではないと痛感しました。金の価値をスイス人は本能的に分かっているから、こうした習慣が生まれ、受け継がれているのです。私が「金は貯めるもの」と強調するのは、こうした経験があるからです。メディアで時々、「有事の金」という言葉が使われることがありますね。
佐久間
何かあったときの金、という意味ですね。
豊島
これは貯める金ではなく、売るための金です。メディアが「有事の金」といって騒ぐときには買っては駄目。これにだまされないよう気を付けてください。
佐久間
オーストリア・ウィーンで豊島さんと一緒に取材したとき、金貨ショップで娘のために買う父親がいましたね。欧州では金が貯蓄の主流なのでしょうか。
豊島
特にドイツ、スイス、オーストリアなどのドイツ語圏では、財産として金を持つことは常識ですね。その理由は1919年、ドイツは超インフレに見舞われ、1兆マルク紙幣が発行された歴史があるのです。インフレは怖いものという思いが民族に受け継がれ、紙幣や国債ではなく、金を持つ習慣が根付いたのです。では、金はなぜインフレに強いのか。それは紙幣や国債は印刷できますが、金は印刷できないからです。
二極化する生活水準
豊島
先日、話題のギリシャへ、佐久間さんと取材に行きました。
佐久間
4月下旬でギリシャ危機の真っただ中でした。
豊島
日本にとってギリシャの状況は、人ごとではありません。ギリシャは国全体で巨大な借金を抱えたわけですが、数字だけで見ると、国内総生産(GDP)に対する借金の比率は日本の方が高いのです。日本の公的債務は約1100兆円。ぴんとこないほどの天文学的な借金です。日本が財政危機になったら、どうなるのか。その予告編を見るため、今回で4度目のギリシャ取材でした。人々は飢え、路上生活者ばかりかな、と日本では思いがちですが、いかがでしたか?
佐久間
生活水準に大きな差がありました。働きたいけど職が見つからない、結婚もできない、家庭も維持できない、という人に数多く出会いました。親の年金に子どもや孫まで頼っているケースにも出合いました。
豊島
日本でも同じような事例は数多くありますね。
佐久間
将来、年金に期待できないから、外国へ行くために中国語やロシア語を学ぶ大学生もいました。
豊島
中流家庭も訪問しましたが、飢えるということはないようでした。街行く人の服装を見ても、財政危機の国とは思えない印象ですが、実際には勝ち組と負け組に二極化しています。

これが日本人にとって教訓となる点ですが、勝ち負けの差は、蓄えがあるか、ないかの違いなのです。普段からコツコツ貯めていたか、能天気に月給を全部使っていたか。少しでも蓄えがあれば、何とかしのいでいけるけど、なければすぐに駄目になります。こういうセミナーに参加し、日頃から経済やお金のことを考えているかどうか。いざというときに、その差が出るのです。

驚いたのは地下鉄の駅前に「金、プラチナ、買います」という店舗が必ず2、3軒はあったこと。今や金の売買はアテネで唯一の成長産業なのです。日本ではデザインが古くなったからゴールドジュエリーを売り、新しいものに買い替えるのですが、アテネでは明日のパンを買うために、思い出が刻まれた大切なアクセサリーを泣く泣く売るという切ない状況でした。

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※講演者は、セミナー内容につき、その正確性や完全性について意見を表明しますが、その内容を保証するものではありません。また、過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではありません。

プロフィール

豊島逸夫事務所代表
豊島逸夫氏 としま・いつお

1948年、東京都生まれ。一橋大学経済学部卒、三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行で国際金融業務に配属され、外国為替貴金属ディーラーとなり、チューリヒ、ニューヨークで豊富な相場体験を蓄積。ワールドゴールドカウンシル(WGC)日本代表を務めた後、2011年に豊島逸夫事務所を設立。金市場をはじめ、国際金融、マクロ経済の動向などを意欲的に発信。
フリーキャスター
佐久間あすかさん さくま・あすか

千葉県出身。四国放送(徳島市)のアナウンサーとして3年間勤務。その後、テレビ大阪の経済・報道ニュースキャスターを3年間務め、2011年10月から日経CNBCキャスターとして活躍中。
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