マーケット市況情報

2010年06月08日 16時11分

2010年5月の貴金属市況2010年06月08日 16時11分

価格ベース
金 US$:London Fixing  円建:税抜参考小売価格
プラチナ US$:London Fixing  円建:   〃

金(Gold)
■海外金相場
  1,184.25ドルでスタートした金相場は、ギリシャの財政不安がユーロ圏全体に波及するとの懸念を背景とした対ユーロでのドル高から5日に月間最安値となる1,165ドルをつけたものの、米国株式が1,000ドル近く急落するなど、株式市場の下落を受けた安全資産としての買いから反発し、金は1,200ドルの大台を超えました。その後、EUとIMFが7,500億ユーロの緊急融資制度を発表すると、それまでの資金逃避的な買いに対する利益確定の動きから1,200ドルを割り込んで下落しましたが、市場では今回の財政対策の内容はユーロ防衛の為の根本的な解決とはならないと見られ、依然としてユーロへの不信感から安全資産としての金買いが優勢となり、すぐに反発。12日には月間最高値となる1,241.25ドル近辺まで上昇しました。
  その後、商品相場や株式において下落に歯止めがかからず、金相場にも換金売りの動きが波及し反落しましたが、世界的な景気回復に懐疑的となった市場では、安全資産として見られる金は高値圏を維持し、1,230ドル台での推移となりました。18日にドイツ政府が一部株式や国債などの空売りを規制するとの発表をしたことをきっかけに、欧州財政問題への不透明感がより強く意識されると、商品相場や株式の売りの加速から金も徐々に売り優勢となり、翌19日には1,200ドルを割り込んで下落し、21日には1,179.75ドルをつけました。
  しかし、投機筋による換金売りが一段落すると、欧州財政不安を背景に安全資産と見られる金は先高感も根強く、アジア圏の実需筋を中心に下値をサポートされ反発。朝鮮半島での緊迫情勢も金相場には追い風となり、26日には1,200ドル台を回復しました。月末にかけて、世界的に金融市場や株式、商品市場で売り買いが交錯する中、金相場も方向感の乏しい推移となりましたが、中国やインドの宝飾需要をはじめ、実需筋の買いから下値は固く、1,200ドルを割り込むことなく1,207.50ドルで越月しました。

■為替相場
  94.00円付近でスタートした5月のドル円為替相場は、本邦や英国が月初に休日となる中、米国経済指標が比較的良好であったことから、一時95.00円に迫るまでドル買いが進みました。その後、格付け会社がポルトガル国債を引き下げ方向で見直すと発表したことをきっかけにさらにユーロが下落。資金の逃避として円が買われる展開となり、93円台半ばまで上昇しました。欧州に財政不安に対する懸念が広がる中、米国株式も一時的に1,000ドルに迫る下げ幅を見せると、為替相場でも急速にドル安が進み、円は88円台を超えて上昇しました。しかし、ギリシャ支援について実行に移せる環境が整いつつあるとの報道や、米国の雇用情勢に改善が見られたことなどから値を戻すと、為替相場でも落ち着きを見せ始め、93円台半ばまで戻しました。
 その後、EUやIMFによる総額7,500億ユーロにのぼる緊急融資制度が講じられたことや、スペイン、ポルトガルの資金対策などが市場に好意的に受け取られたものの、ユーロ圏の財政不安は根強く、また、中国の金融引き締め懸念や、株式の戻りを背景とした米国長期金利の上昇など、好悪材料の入り混じる中ドル円為替相場は動意に乏しく、93円を挟んでの小動きに終始しました。10,900ドル近辺まで回復していた米国株式が13日から14日にかけて270ドルを超える下げ幅を見せ、また、独仏を中心にユーロ圏での財政対策において足並みが揃っていないとの報道からドル、ユーロが売られると、円は91円台後半まで上昇しました。株式や商品相場の下落が一服し、ドルも92円台後半まで買い戻されましたが、18日にドイツ政府が一部株式や国債などの空売りを規制するとの発表を受け、再び欧州での財政不安が意識されるとユーロが急落。つれて円も91.00円近辺まで上昇しました。
  20日にギリシャで大規模なゼネストが実施される中、欧州の財政不安が世界的な景気回復に重くのしかかり、月半ばから続いた米国株式の下落に拍車をかけるとドルが急落。また、軟調な商品相場を背景に資源国、新興国通貨に対する円買いから、急速に円高が進み、一気に89円台前半まで上昇しました。24日に90円半ばまで戻した後、中国がユーロ圏諸国の国債保有を見直しているとの報道からユーロ売りが強まり、つれて円も一時89円台まで上昇する場面も見られましたが、中国当局がこの報道を否定したことをきっかけに株式や商品相場が反発するとドル買いに転じ、90円台を回復。欧米が休日となる月末にかけてもドルが買われる地合いは変わらず、91.30円近辺での越月となりました。

■国内金相場
  国内円建て相場は、3,575円でスタートすると、堅調に推移するドル建て相場に合わせて上値を伸ばし、13日には月間最高値となる3,741円をつけました。その後、ドル建て相場の上昇が一服すると、月初から円高基調で推移するドル円為替相場につられて反落。最高値から10日を待たずに300円を超える下げ幅となり、21日には月間最安値となる3,429円(同日11:30発表)をつけました。しかし、実需筋を中心に下値をサポートされると、ドル建て相場の切り返しとあいまって円建て相場も3,500円台を回復し、3,593円での越月となりました。


プラチナ(Platinum)
■海外プラチナ相場
  5月のプラチナ相場は1,720ドルで始まると、本邦や欧州の連休で流動性が低下する中でギリシャ問題を中心とした欧州経済全体に対する不安感などから株式が軟調に推移し、プラチナ相場も投機筋の売りが先行する展開となり1,600ドル台中盤に下落しました。しかし、10日にEUとIMFが7,500億ユーロの緊急融資制度、ECBによるユーロ圏国債の買い入れ実施などが報じられると、ユーロ圏に対する不安感がやや緩和し、株価の戻りに合わせる形で投機筋の買いが入り、12日には1,700ドル台に値を戻しました。その後も先物市場を中心に買いが続き、13日には月間最高値となる1,731ドルをつけましたが、欧州経済に対する不信感は根強く、株価の戻りが弱まるにつれてプラチナ相場も軟化。また、これまで需要を牽引してきた中国で金融引き締め政策が台頭するとさらに売られる展開となり、再び1,700ドルを割り込みました。その後発表されたJM社需給レポートでは、強気の見通しはETFを中心とした投資需要のみであり、需給バランスでは大幅な供給過剰が示されたことで、先物市場を中心に拡大していた投機筋のロングポジションが急速に手仕舞われる展開となりました。IMFのEU圏救済支援に米国が反対する可能性が出たとの報道や、ドイツ政府が金融市場での空売り規制を打ち出したことなどから、さらに投機的ポジションの縮小が加速し、プラチナ相場は200ドル近い下落を見せ、21日には月間最安値となる1,492ドルをつけました。しかし、この水準では本邦を含むアジア圏で、実需筋などが押し目買いを入れたことでサポートされると、翌日には1,500ドル台を回復。月末にかけて欧州の動向を見ながら細かい上げ下げはあるものの総じて戻り基調となり、1,555ドルで越月しました。

  以下、17日に発表された英国JM社の「白金族年次報告」でのプラチナに関する要旨です。

①09年プラチナ需要は、中国の好景気と価格の下落により宝飾需要で過去最高を記録して増加が見られたものの、自動車生産台数の大幅な低下を受けた自動車触媒需要の減少や、世界的な景気後退による工業用需要の微減から、前年比11.9%%減の219.0トンとなった。
②08年プラチナ供給は、南アフリカからやロシア、北米からの供給は前年比0.3%減184.1トン、使用済み自動車触媒や宝飾分野からのリサイクルは減少し、43.7トンとなり、需給は8.8トンの供給過多となった。

■国内プラチナ相場
  国内円建て価格は、本邦が連休で始まったこともあり海外市場に遅れて6日に5,123円でスタートすると、EU圏の緊急救済策などを好感した堅調なドル建て相場や円安基調を受けて上昇基調となり、13日には月間高値となる5,288円をつけました。しかし、ドル建て相場が軟調に転じたことや、ドル建て相場が株式市場の動向を追った展開だったこともあり、円高の影響も受けて急落。21日には月間最安値となる4,313円(同日11:30発表)をつけました。その後は急落に対する押し目買いなどから値を戻しましたが戻りは弱く、4,654円で越月しました。


以上
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